« 飛蚊症 | トップページ | カンヌのキムタク »

2004/05/21

『燃えよ剣』観劇記

 明治座の天井席にて、『燃えよ剣』を観てきました。この原作を読んで土方歳三にハマり、ドラマ『白い巨塔』を見て関口弁護士役の上川隆也にハマった私(何でもハマりやすい!)としては、上川さんの土方を見逃すわけにはまいりません。

 上川さんの土方は期待どおり、とても素敵でした! とくに軍服姿には惚れ惚れ……恋人・お雪との最後の逢瀬から、戦死に至るラスト近くの入魂の演技は素晴らしく、まるで土方歳三がよみがえったかのようでした。お雪の富田靖子はもちろん、新選組隊士も、近藤勇の風間杜夫をはじめ、みんな好演でした。

 だけど、私が求めていた『燃えよ剣』ではなかったのが正直なところ。せっかくキャストにも恵まれているのだから、もっと原作に忠実な「芝居」が見たかったです。わかってはいるんです――明治座での公演だから、普段の観客層を考慮すれば、ああいうふうに笑いを取りながらの「大衆演劇」にならざるをえないこと。それはそれで成功していたけれど、何だか物足りなさが残ったのも事実です。

 原作で一番印象に残っている台詞は、土方が総司に言った「男の一生というものは……美しさを作るためのものだ、自分の。そう信じている」という言葉。『燃えよ剣』の土方は「美しさ」を追求して生きたことが一番のテーマだと思うので、それが感じられなかったのは残念でした。

 と不満を言いつつ、当分は上川土方の姿を思い浮かべては、ひとりでにんまりしそうです。

燃えよ剣 (上巻) (新潮文庫)
燃えよ剣 (上巻) (新潮文庫)


 

|

« 飛蚊症 | トップページ | カンヌのキムタク »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『燃えよ剣』観劇記:

« 飛蚊症 | トップページ | カンヌのキムタク »