「願わくは」と「願わくば」
本日分の記事を書いていて、ふと迷いました……「願わくは」と「願わくば」、どちらが正しいんだっけ?
さっそく広辞苑で「願わくは」を引いたところ、(ネガフのク語法に助詞ハの付いたもの。江戸時代ごろからネガワクバともいうようになった)と書いてありました。つまり、「願わくは」が正しいけれど、「願わくば」でも間違いではないということでしょうか。ちなみに、Googleの検索では、「願わくは」が13300件、「願わくば」が60700件で、すでに「願わくば」が優勢になっていることがわかります。そのうち、「願わくは」を使うと、「間違っている」と思われるようになるのでしょうか。
そういえば、「願わくは」で始まる西行法師の有名な歌がありました。
願わくは花のもとにて春死なむ その如月の望月のころ
この歌まで「願わくば」と詠まれるようになったら、何とも悲しいことです。まさかと思って、再びGoogleで検索したら、なんと、すでに半分以上が「願わくば」になっていた! 嗚呼!
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コメント
マジすか!?
Googleで”願わくは”と検索して2番目だったんで飛んで来ました。
大変参考になりました。
私は”願わくは”で行きますよ。
投稿: へづか | 2006/03/14 23:42
変わっていく言葉と変わらないで欲しい言葉。「ば」ではなく「は」の響きを大事にしたいですね。で、「如月の望月の頃」が気になって調べたら極東ブログさんの http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2004/02/post_41.html">西行忌 からの引用ですが 西行が死んだ1190年の旧暦二月十六日は新暦では三月二十三日で桜咲く頃なんだそうです。ちなみに今年だと三月15日が「如月の望月の日」になります。
投稿: 惑 | 2006/03/15 01:56
>へづかさん
はじめまして。コメントありがとうございます。
この記事は約2年前に書いたものですが、今回、改めてGoogleで検索してみたら、「願わくは」が211,000件、「願わくば」が1,210,000件でした。件数が増えたので単純な比較はできませんが、「願わくば」がどんどん優勢になっているようです。そのうち「願わくば」派に負けてしまうかも?
投稿: Tompei | 2006/03/15 08:08
>惑さん
おはようございます。
>ちなみに今年だと三月15日が「如月の望月の日」になります。
ちょうど今日ではないですか! ナイスタイミング(^^)。朝刊の暦を見たら、旧暦2月16日になっていました。
ご紹介の記事を読んできました。西行が望んでいたとおりの時期に死んだのは自死だからという説、納得です。死というより、即身仏ということですね。興味深い記事を教えてくださって、ありがとうございました。
投稿: Tompei | 2006/03/15 08:37
面白いですね、1年経ってコメントが付いて話の輪が拡がっていますね。
∥この歌まで「願わくば」と詠まれるようになったら、何とも悲しいことです
そうですね、ただこの例では当てはまらないと思いますが、書くときは清音でも読むときに濁音になることがありますね(書くときに濁点をつけない)。
私は言葉によっては濁音を使いたくなくて、同じような言葉なら清音のものを使う、あるいはそう読む傾向にあるようです。
ちょっと思い出したことがあり、エントリーします。トラックバックさせていただくかもしれません。
投稿: 涼 | 2006/03/16 21:35
>涼さん
こんばんは。思いがけず過去記事へのコメントが続いて嬉しいです。
文語文で書かれた法令などには、濁点・半濁点も、句読点もないそうですね。私にはとても読めそうにありません。
トラックバックしていただいた、「どうぞ」と「どうか」の問題も面白いですね。一晩じっくり考えてから、コメントあるいは記事を書きたいと思います。
投稿: Tompei | 2006/03/17 01:02
ゴメンナサイ、トラックバックが残ったままで、修正している内に何度も付いてしまいました。
お手数ですが、削除をお願いいたします。
投稿: 涼 | 2006/03/17 01:18
はじめまして。
たった今「願わくは」で検索してきました。
私も「願わくは」派?だったのでこれからもそれを通して行きたいと思います^^
大変参考になりましたm(*- -*)m
投稿: emipins。 | 2008/02/25 02:10
>emipins。さん
はじめまして。コメントありがとうございます。
「願わくば」が優勢になっていく中、「願わくは」の美しい響きを大切にしたいですね。願わくは「願わくは」が逆転しますように。
投稿: Tompei | 2008/02/25 07:29
「願わくは 願わくば」の検索から。
「ら」抜き言葉の定着など、時代とともに言葉が変化していくのは仕方の無いことだと思います。
それを使うか否かは個人の自由ですが、使うのであれば、正式な表現を知った上で使用して欲しいものです。
作品などは、作者の意図が込められた、元の形のままが良いなぁ・・・
投稿: 光化学スコペ | 2008/08/28 08:58
>光化学スコペさん
はじめまして。コメントありがとうございます。
ら抜き言葉もいまだに耳障りに感じられますが、若い世代ではかなり定着していますね。言葉は変化していくものと思えば、仕方ないことでしょうね。
この記事にはコンスタントにアクセスが多く、「願わくは」という言葉に対する関心の高さがうかがえることがせめてもの救いです。
投稿: Tompei | 2008/08/28 19:45
たいへん勉強になりました。さっそく今日のブログに、 「 願わくは 」 の形で書かせてもらいました。
詠み人の心をそのまま伝えていきたいと思います。ありがとうございました。
投稿: とくさん | 2010/04/04 23:26
>とくさんさん
はじめまして。過去記事へのコメントを嬉しく拝見しました。
毎年桜の季節になるとこの記事へのアクセスが増えるのは、日本人に共通する桜への思いのせいでしょうね。
とくさんのおかげで和歌山の桜を見ることができました。そちらは好天に恵まれましたね。
投稿: Tompei | 2010/04/05 08:41
ブログを書いていて「ん? 願わくば?」と引っ掛かりを感じて検索した結果、辿り着きました。
7年も前の記事にコメントするのもどうかと思ったのですが、大変参考になったのでぜひお礼を言いたくて。ありがとうございます。
「願わくは」にすると、音も字面も少し柔らかな印象になりますね。
投稿: はろーすみす | 2011/06/12 00:10
>はろーすみすさん
はじめまして。ご訪問&コメントありがとうございました。
古い記事へのコメントは嬉しいものです。7年も経ったとは信じられませんが……。
ひさしぶりにグーグルにかけてみたところ、「願わくは」が約 448,000 件、「願わくば」が約 2,010,000 件でした。上↑の2006年のコメント時より「願わくは」が挽回しているのかも?
投稿: Tompei | 2011/06/13 08:42