『昭和史 1926→1945』(半藤一利)
サブタイトルの「1926→1945」からわかるように、第二次大戦終戦までの昭和史で、時代的に戦争史と言えます。半藤氏が1回1時間半から2時間にわたって、スタッフたちの前で行なった「授業」を本にしたものなので、口語体で読みやすく、500ページにおよぶ内容を飽きることなく読めました。
満州事変(昭和6年)に始まり、上海事変(昭7)、国際連盟脱退(昭8)、二・二六事件(昭11)、日中戦争開始(昭12)、第二次大戦勃発(昭14)、日独伊三国同盟調印(昭15)、真珠湾攻撃、太平洋戦争開戦(昭16)、原爆投下、終戦(昭20)までの事情が、詳しく説明されています。
これを読むと、いったん走り始めてしまった戦争への道を方向転換することがいかに困難であるか、がよくわかります。戦争拡大に反対しつつも、一部の軍部の暴走を食い止められない天皇や良識派。軍部の動きをバックアップし、国民的熱狂をあおるマスコミ。そして、燃え上がった熱狂そのものが権威をもち、不動のものとなって人々を引っ張り、流していき、行き着いた先は……。
終戦から59回目の夏……大昔の話ではありません。おじいさんやおばあさん(あるいはその親)は戦争を体験しているのです。なのに、私たちはこの時代のことを知らなすぎる。知らなければ、歴史から学ぶこともできません。
日本は何十年か前にこういう失敗をして、300万人以上の国民がその犠牲となったほか、近隣諸国にも多大な被害を及ぼした国であることを、私たちはもっと知るべきです。この本を読んで、それを痛感しました。知ったうえで、何をしたらいいか、何をするべきかをそれぞれが考える必要があるように思います。
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『昭和史(戦後篇) 1945→1989』(半藤一利) (2006年6月17日)
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コメント
こんばんは、Tompeiさん。今日は混雑しないうちに投稿しますね。半藤さんの本はまだ読んでいませんが、昨年戦争体験のある女性からお話を伺う機会がありました。そして、今が戦前(第二次世界大戦)の状況と酷似していることに気づきました。怖いです。「もっと知るべき」と私も考え、戦争に関する本も読みました。「知ったうえで何をしたらいいか」これは立場によって、人それぞれかも知れませんが、私がHPとblogを始めるきっかけになりました。非力な者は非力なりに・・。「戦争だけはございませんように」と願います。
投稿: T2F | 2004/08/04 20:41
>T2Fさん
こんばんは。コメントをありがとうございます。
私は、恩師二人からいただいた年賀状の言葉がきっかけで、戦争と平和について考えるようになりました。といっても、まだ知らないこと、わからないことだらけで偉そうなことは言えません。ふだんはお気楽でミーハーな私の未熟な言葉が、もしかしたら誰かの心にひっかかるかもしれないと思いつつ、こうした話題を書いています。
これからずっとこの問題を探り続けたいと思います。いろいろ教えてくださいね。
投稿: Tompei | 2004/08/04 21:50