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2004/09/26

『白夜行』(東野圭吾)

白夜行 (集英社文庫)
白夜行 (集英社文庫)

 この小説は5年前、単行本で読んでいますが、『幻夜』を読んで、何としても再読してみたくなりました。おおまかなストーリーと事件の犯人については記憶していましたが、それでもやっぱり面白い。真相を知っているからこその細部の面白さ、そして『幻夜』との関連を想像する面白さ……ぜいたくな楽しみ方です。東野作品の中では、文句なしのマイベスト1。

 この小説は、主人公の雪穂と亮司の20年にもおよぶ哀しくも暗い関係が客観的に淡々と語られ、二人の心情などは一切書かれていません。そのあたりは、主人公の美冬と俊也の内面をつぶさに描いた『幻夜』とは対照的で、その分感情移入はしにくいものの、ミステリーとしてはこの『白夜行』の方がよくできていると思います。

 そして、今回の再読の一番の注目点「雪穂=美冬か?」については、そう考えて読んで差し支えないと思いました。美冬は雪穂の将来、雪穂は美冬の過去ととらえて読むと断然面白い。そこは読者それぞれの思うように読ませるために、あえて『幻夜』を"続編"とはしていないのかもしれません。

 雪穂、美冬のその後もぜひ読んでみたい。『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラ(雪穂と美冬はこの小説を愛読している)は、夫であるレット・バトラーの愛の大切さに気づいた時、レットを失って悲嘆にくれるというラストを迎えますが、雪穂(美冬)にもそういう"反省の時"が来るのでしょうか? 興味津々です。

 それにしても、東野圭吾がこの『白夜行』で直木賞を取らなかったのは、返す返すも残念です。ノミネートされた5作品(『秘密』『白夜行』『片想い』『手紙』『幻夜』)の中でも、断トツの傑作だと改めて思いました。ちなみに、この年(平成11年下半期)は、『白夜行』や『亡国のイージス』(福井晴敏)などを押さえて、『長崎ぶらぶら節』が受賞しています。

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コメント

Tompeiさん、こんばんは^^

古い記事にコメントさせていただきます。
「白夜行」TVの方を見ました。
ものすごく重いですね~。かなりひきこまれ、そして暗い気分をひきずってしまいました。

TompeiさんもTVをご覧になりましたか?
どうでしょう。原作の方がいいですか?
感想をお聞きしたいです。
原作を読むべきか迷っています。

投稿: ぶんぶん | 2006/01/14 21:03

>ぶんぶんさん

 こんばんは。古い記事にようこそ!(^^)

 ドラマの初回、腰を据えては見られなかったけれど、密度にして半分くらいは見ました。小説のラストから始まったのにはびっくりしましたが、全体的な印象としては原作に沿って丁寧に作りこんであるように思いました。

 そう、小説も重くて暗いんですよ。救いがなくて後味はあまりよくありません。でも、引き込まれるのは確か。結構厚くて読み応えのある本だけど、2回とも一気読みしました。感動する話ではないけれど、小説としてはおすすめです。←ニュアンスはわかっていただけるかしら?

投稿: Tompei | 2006/01/15 00:39

Tompeiさん、再度失礼致します。
「白夜行」読み終えました。
面白くて一気に読んでしまいました。
トラックバックさせていただきました。
まだ届いてないようですが、そのうち届くと思います(^^)

投稿: ぶんぶん | 2006/01/17 19:16

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» 東野圭吾 - 白夜行 (1999) [BOOKVADER]
先日ドラマが最終回になったらしいが、一度も見ていない。最終回の翌日に原作を読了した。いやー、面白い。東野圭吾の作品の中でも群を抜いての傑作ではないでしょうか。 桐原亮司と唐沢雪穂にまつわる個々のストーリーが最後にガチリと嵌る様がなんとも言えないほどスリリング。途中からなんとなく話の筋は見えてきたのですが、そんなのお構いなしにグイグイ読ませてくれる文章のうまさに感服。 サイドストーリー的なもので二人の視点から見た本が一冊つくれるのではないでしょうか。ってドラマはどうだったのでしょうか。再放... [続きを読む]

受信: 2006/03/25 12:20

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