映像の力
イラクで拉致されていた香田さんの遺体が確認されました。当初、発見された遺体が別人とわかり、ほっとしていた矢先のことで、無残な遺体に関する報道を聞いて、大きな衝撃を受けています。
香田さんの行動や、日本政府の対応について、ここで論じるつもりはありません。ただ、数日前まで確かに生きていて、テレビを通して、その姿を見、声を聞いたあの人物が殺害されて、もうこの世にいないという事実に打ちのめされています。あの映像を見ていなければ、「無謀な若者がイラクで殺されてしまった」と軽く受け流していたかもしれないけれど……。
もうひとつは嬉しい映像――新潟中越地震による土砂崩れ現場から奇跡的に救出された皆川優太ちゃん。頭の大きな絆創膏は痛々しいものの、朝食を美味しそうに食べる元気な姿に、思わず頬がゆるみました。優太ちゃんの生命力に改めて目を見張るとともに、これからの人生が幸せなものであるように祈らずにはいられません。
実際の姿をありのままに映し、生の声を聞ける映像の力はとてつもなく大きいことを、両方の映像を見ながらしみじみ実感しました。だから、テレビは執拗にそれを追い、視聴者はそれを見るのでしょうね。いや、視聴者が求めているから、テレビが追うのか……。
映像の力は強力なだけにひとたび度を超すと、事件や事故の関係者には暴力となったり、視聴者には魔力となったりするところが怖い。香田さんのご家族や、優太ちゃんご家族がこれから、無遠慮なテレビカメラにさらされることがありませんように。
末筆ながら、香田さんと、雄太ちゃんのお母さんとお姉ちゃんのご冥福をお祈りいたします。
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