« お肌のお手入れ | トップページ | 童謡『チューリップ』 »

2005/01/19

『海馬――脳は疲れない』(池谷裕二・糸井重里)

海馬―脳は疲れない (新潮文庫)
海馬―脳は疲れない (新潮文庫)

 脳の研究者である池谷裕二さんと、ご存じ糸井重里さんによる、脳をめぐる対談形式の本。好奇心も発想も豊かで、話術が巧みな糸井さんが池谷さんをリードして、興味深く面白い話を導き出しています。脳についての専門的知識というより、脳の機能からとらえた人生論という印象。知的好奇心が適度に満たされると同時に、元気が出る本です。

 脳の本質は、ものとものを結びつけて新しい情報を作っていくことであり、この「つながりを感じる能力」は30歳を過ぎてから飛躍的に伸びる、とのこと。最近、やたらにもの忘れをするようになり、脳の機能が衰えているのではないかと悲観していた私には朗報でした。長いこと生きてきて知識をたくさん蓄えたのだから、その中からひとつの知識を選び出すのに時間がかかるのは仕方ないそうです。もの忘れを嘆くより、脳の力を伸ばすことを考えよう。

 そのほか、印象に残ったことは以下のとおり。

・ストッパーをはずすと成長できる。
 「できないかもしれない」と心配するストッパーは、能力にブレーキをかけることになるので、一見「無理だ」と思えることでも、気持ちにストッパーをかけずにやり続けよう。
・やり始めないと、やる気は出ない。
 やる気を生み出す脳の側坐核は、刺激が与えられると活動するので、「やる気がない場合でも、やり始めるしかない」。
・言ってしまったことが未来を決める。
 脳は安定化したがる性質があり、自分が言ったことに対しても安定化しようとするので、いいことを口にしよう。

 以上のことは精神論でよく言われることですが、脳という観点から改めて言われると、説得力がありますね。それにしても、脳についてはますます興味がつきません。もっといろいろな本を読んでみたくなりました。

関連記事:
『記憶力を強くする』(池谷裕二) (2005年2月9日)

|

« お肌のお手入れ | トップページ | 童謡『チューリップ』 »

コメント

お久しぶりです。
私ボーっとするのが好きなので意識して脳を使おうと思いました。そういえばこの前テレビで脳についてやっていました。「脳は使えば使うほど若返る。」「何歳からはじめても遅くはない。今からはじめよう。」という内容の言葉が印象に残っています。

投稿: Jun | 2005/01/19 11:38

>Junさん

 こんばんは。

 Junさんはこれから脳の力が飛躍的に伸びる時期じゃないですか! うらやましい!(^^) 私は、30代前半あたりが一番いい時期だったような気がするんです。まだ何でも始められますよ。どうぞ大切に過ごしてくださいね。

 そういう私も、使えば使うほど若返るという脳をめいっぱい使いたいと思います(^^ゞ。

投稿: Tompei | 2005/01/19 17:59

いいことを教えていただきました。

>・ストッパーをはずすと成長できる。

私はどちらかというとストッパー型人間なので
やっぱり怖がらずにチャレンジすることが大切ですね。

>・やり始めないと、やる気は出ない。

娘たちに勉強のやる気が出ないのはこのせいだったのかとすごく納得しました^^

>・言ってしまったことが未来を決める。

よくそんなことを聞きますが本当なのですね。
やっぱりいいことを言って実現させた方がいいですね。

投稿: ぶんぶん | 2005/01/19 19:57

皆様の仰有るとおりです。とりあえず、この言葉を急ぎ聞かせたい人がいます。

投稿: | 2005/01/19 20:19

 ぶんぶんさん、涼さん、こんばんは。コメントありがとうございます。

>ぶんぶんさん

 何を隠そう、私もストッパー常備のマイナス思考人間なんですよ。常にブレーキを踏んでいる小心者。でも、この機会にストッパーもブレーキも返上したい! こういうのってクセみたいなものだから、意識していちいち修正していかないと駄目ですね。言葉遣いもね。

 掃除、洗濯、料理……気が重い家事もとにかくやり始めること!>自分(^^;)

>涼さん

 こういう言葉って、改めて聞くと「本当にそうだなぁ」って思いますよね。その方にも通じるといいですね。

投稿: Tompei | 2005/01/20 00:54

本を注文するつもりです。とりあえずですが、紹介だけさせて頂きました。涼は常にアクセル全開気味で、それはそれでよろしくないことではと……
振り返ってみるゆとりが必要ではと感じています。

投稿: | 2005/01/20 01:03

>涼さん

 おはようございます。
 ご紹介いただきありがとうございます。

>常にアクセル全開気味で

 いいですねぇ、うらやましいです。私は車を運転しないんですけれど、もし運転したら、不必要なところでブレーキを踏んで、後ろから追突されるタイプかも?(^^;) 

投稿: Tompei | 2005/01/20 09:53

こんばんは。
そしてtompeiさんはじめまして。
もじじといいます。
ひょんなことからここのページにたどり着きましたが、
「脳」の話は面白くとても納得し、そして勇気付けれれました!!

使わなければどんどん脳細胞は死んでいくんだ。
本来の脳の20%も人は使っていないなど・・・
恐ろしい話ばかりを聞いてきましたが
なんだか、元気になりました!
本よんでみたいです!
今は友達から借りた「ハリポタ」をせっせとよんでおります(>_<)
次よんでみましょう。
こちらにまたちょくちょくお邪魔したいと思います

よろしくおねがいします!!

投稿: もじじ | 2005/01/20 20:12

>もじじさん

 はじめまして。ようこそいらっしゃいました。

 この本を読んで、私自身とても勇気づけられたので、もじじさんにもそう言っていただけて嬉しいです。おたがいに前向きに頑張りましょうね。

 ハリポタは私、映画も本も「賢者の石」止まりです(^^;)。巻を重ねるごとに本が厚くなっていくようですが、面白さもそれに比例しているのかしら?

 これからもよろしくお願いします。

投稿: Tompei | 2005/01/20 22:10

こんにちは、読み出したら面白くて困りました。

元気を一杯頂きました。実際に元気になるかどうかはともかく、自分に暗示をかけようと思います。
トラックバックさせていただきました。

投稿: | 2005/06/13 17:43

>涼さん

 こんにちは。トラックバックありがとうございます。

 涼さんのおかげでこの記事をひさしぶりに読み、3項目を改めてインプットしなおしました。こういうことは何度も繰り返し自分に言い聞かせないと駄目ですね。


投稿: Tompei | 2005/06/14 15:29

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『海馬――脳は疲れない』(池谷裕二・糸井重里):

» ★★★★「海馬 脳は疲れない」池谷裕二、糸井重里、朝日出版社(... [一日一冊:人生の智恵]
私が今いるカザフスタンとはこんな国です。位置 : ロシアの下、カスピ海の右側面積 : 約271万km2(日本の約7倍,ソ連の中ではロシア連邦に次ぐ大きさ)人口 ... [続きを読む]

受信: 2005/03/28 10:14

» 糸井重里・池谷 裕二【海馬】 [徹也]
またもや購入のきっかけは、新聞広告。予備校の広告に出ておられた。経歴を読んでオヤッと思ったのが直接の動機。 [続きを読む]

受信: 2005/06/13 17:40

« お肌のお手入れ | トップページ | 童謡『チューリップ』 »