宮部みゆきの本
2月26日と言えば、二・二六事件、そして二・二六事件と言えば、宮部みゆきの『蒲生邸事件』。宮部さんの小説の中でもお気に入りのひとつです。現代ミステリーとも時代物ミステリーともファンタジーとも違う、宮部作品の中ではちょっと異色のタイムトリップもののSFミステリー。とは言っても、そこに繰り広げられるのはやはり宮部ワールド……自分も戦前にタイムスリップして、蒲生邸で暮らす人々に会ったような錯覚を起こすほど、のめり込みました。
このほかに好きな宮部作品は、『火車』『模倣犯』『理由』などの現代ミステリー。これらはミステリーとしての魅力もさることながら、事件をめぐる人間模様や登場人物それぞれの心情の描写が秀逸で、思わず引き込まれ、「早く先を読みたい……でも、終わってしまうのが惜しい」というジレンマに陥りました。悲惨な事件を扱った小説を読んでも、「生きるってまんざら捨てたもんじゃない」と思わせてくれるのが救いで、後味がいいのが宮部作品の特徴です。
一方、時代物のほうは長編『あかんべえ』のほか、短編をいくつか読んだだけなので、あれこれ語れるほどではありません。江戸の下町を舞台にした話が多いので、下町出身の私には馴染みの地名が多いのが嬉しいかぎり。時間ができたら、ゆっくり読んでみたいです。
実は、単行本は滅多に買わない私が、『ブレイブ・ストーリー』『誰か…Somebody』と新刊が発売されてすぐに購入し読んだのですが、両方とも"宮部作品としては"物足りなくて不完全燃焼でした。『模倣犯』を超える現代ミステリーを読みたい……宮部さんにはついつい期待が大きくなります。
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コメント
こんばんは、すみません ご挨拶が遅くなりました。
この本、好きです。孝史の成長がとてもよく描かれていると思います。
宮部ファンのフォーラムでも、評価は分かれていたのですが……
投稿: 涼 | 2005/02/26 21:52
>涼さん
おはようございます。コメント&トラックバック、ありがとうございます。
主人公は孝史って、言うんでしたね。忘れていました(^^ゞ。"いかにも宮部作品"ではないところが評価の分かれるところかしら? 再読してみたいけれど、未読本も読みたいし、これまたジレンマです。
投稿: Tompei | 2005/02/27 09:03