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2005/03/01

「『エロイカより愛をこめて』の創りかた」(青池保子)

「エロイカより愛をこめて」の創りかた
「エロイカより愛をこめて」の創りかた

 実は今頃、『エロイカより愛をこめて』にハマっています。というのは、友人がコミック本16巻と、先月放映されたNHK・BS2の「THE・少女マンガ!」の青池さんの回のビデオを相次いで送ってくれたから。青池さんとお知り合いのその友人が「面白いから、ぜひ読んでみて」と勧めてくれたのです。

 そんな折、タイミングよく、この「『エロイカより愛をこめて』の創りかた」というエッセイが発売されたので、つい買ってしまいました。コミックとの併読の相乗効果でとても面白く読めて、ますますエロイカワールドに魅了されています。

 『エロイカより愛をこめて』は1976年に連載開始され、87年から95年までの休止期間を経て、現在も雑誌「プリンセス」で連載中の少女コミック。コメディ要素たっぷりのスパイ・アクションで、「エロイカ」と称する美術品泥棒のイギリス人伯爵と、NATO情報部所属のドイツ人エーベルバッハ少佐が世界各地を舞台に活躍する物語です。

 中断以前、世界は米ソ対立の冷戦構造にあり、だからこそスパイ物が成り立っていたわけですが、冷戦構造が崩壊し、世界が複雑化している現在は、軍事評論家にアイデアを出してもらっているとのこと。そうして今の世界情勢をふまえたうえで、本物の美術品や歴史を絡めて、現実に即した虚構の世界が描かれているので、大人の鑑賞に堪えうる少女コミックなのです。

 『創りかた』では、『エロイカ』のアイデアから完成までの制作プロセスほか、『エロイカ』にまつわるエピソードが惜しげもなく語られ、ファンにはたまらない本と言えそうです。コミックの世界に疎い私は、漫画とはこんなふうに出来上がるのかとたいへん興味深く、細部にまでこだわる青池さんの姿勢に感服しました。青池さんのお人柄が出た素敵なエッセイです。

 正直言うと、私はスパイ物や美術品にそれほど興味があるわけではないけれど、伯爵と少佐がとっても美しく魅力的なので、つい本を開いてしまうんですよ(やっぱりミーハー体質(^^ゞ)。そして、二人の活躍によって、世界情勢や歴史や美術品にも興味が拡がっているような次第です。30年近く前にリアルタイムで読んでいたら、人生の方向が変わっていたかも?

エロイカより愛をこめて (34) (プリンセスコミックス)
エロイカより愛をこめて 22 (22) (秋田文庫 20-26)

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コメント

Tompeiさん、こんばんは。
エロイカ、連載が再開されていたのですね。
そういえば、最近のレディスコミックは一時のお色気路線や告白物も減ってきて、往年の人気連載の続編が増えているらしいですね。
表紙に懐かしい絵と漫画家さんの名が載っているのをみて、ふらふらと吸い寄せられそうになっています・・。

投稿: Kako | 2005/03/01 21:31

はじめまして、桜桃と申します。突然失礼いたします。

以前からとっても感心して読ませていただいていたのですが、
>『エロイカより愛をこめて』
にどうしてもご挨拶がしたくて、コメントつけてしまいました。今も昔も私の人生の愛読書の一つです^^;
>NHK・BS2の「THE・少女マンガ!」の青池さんの回
面白かったですねえ。

ご紹介のエッセイは知らなかったので、早速読んで見たいと思います。ありがとうござました。

投稿: 桜桃 | 2005/03/01 21:36

こんばんは~。

エロイカ、昔読んでました!
少佐のフルネームもちゃんと言えますよ~(笑)

昔の少女マンガって男の子も華奢でキレイで女の子と見分けが付かないってタイプが殆どだったのに、青池さんの描く男の人は筋肉がキッチリあって表情も少年っていうより「大人の男の人」なのが印象的でした。
しかもその逞しい人たちが「あんなこと」や「こんなこと」を…きゃ~^^;って感じで楽しんでいました(笑)

最近はとんとご無沙汰でしたが、今でも連載してるんですね~(驚)
私もまた読んでみようかな。

調べてみたら青池さんの公式サイトがありました。
http://aoikeyasuko.com/
ギャラリーなどもあってなかなか充実してますよ。

投稿: tako | 2005/03/01 21:41

こんばんは。お邪魔します。

私も週末、青池保子さんの公式サイトを
たまたまのぞいて懐かしさに浸っていたので、
あまりにタイムリーな話題に思わずコメントしています。

エッセイ集、面白そうですね。ベルリンの壁がなくなって、ソ連も消えてからは、少佐ともすっかりご無沙汰しています。続編が出たみたいだな、とは思っていたのですが。

私は、新米スパイのZ(ツェット)君が大好きでした。彼が主人公の短編集も確か出ていたと思います。

投稿: りすまご | 2005/03/01 23:28

 Kakoさん、桜桃さん、takoさん、こんばんは。コメントありがとうございます。この作品が多くの方に愛されていることを知って、とても嬉しいです。

>Kakoさん

 恋愛、結婚、育児など身近な話題もいいけれど、自分とはまったく違う世界を垣間見るのもやっぱり捨てがたいということかしら? 単純な私は、金髪巻き毛の美しい男の絵を見ているだけでハッピーになれます(^^ゞ。

>桜桃さん

 はじめまして。

 『エロイカ』をずっと愛読されているんですね。でしたら、ぜひぜひこのエッセイを読んでみてくださいね。きっと、興奮のうちにお楽しみいただけると思います(^^)。

 『エロイカ』のおかげで、桜桃さんにコメントをいただけて嬉しいです。これからもよろしくお願いします。

>takoさん

>少佐のフルネームもちゃんと言えますよ~(笑)

 それはすごい! 何回読んでも、「エーベルバッハ」がやっとの私(^^;)。もう頭が固いのでね。

>しかもその逞しい人たちが「あんなこと」や「こんなこと」を…きゃ~^^;って感じで楽しんでいました(笑)

 うふふ、そうなのそうなの。私もそんな感じで楽しんでいます(^^ゞ。女はいくつになってもあんまり変わらないのね……。

 青池さんのサイトを教えてくださって、ありがとうございます。さっそくアクセスしてみましたが、時間のある時にまた改めてゆっくりお邪魔します。

投稿: Tompei | 2005/03/01 23:35

>りすまごさん

 こんばんは。

 タイミングよくこの本をご紹介できてよかったです(^^)。『エロイカ』がお好きなら、絶対楽しめるはずなので、この機会にエッセイも読んでみてくださいね。って、私は出版社のまわし者ではありませんよ(^^ゞ。

 Z君は美形のスパイですね。まず、『エロイカ』本編を楽しんだ後に余力があったら、その短編集も読んでみたいと思います。

投稿: Tompei | 2005/03/02 00:07

こんばんはー。
私もエロイカは連載当初から読んでいて20年以上、単行本を買い続けてるんですよ!年に数回はこれまでの全巻と番外編、ついでに「Z(ツエット)」もまとめて読み返してます。
エッセイ集は読んでませんが、エロイカの公式キャラクターガイドブックも買いました(^^)
"エロイカ話"ならモデルのミュージシャン達の話を含め、ひと晩語ってもネタは尽きません(笑)

世界史&ロック好きとしてはそれより古い「イブの息子たち」もマニアックで面白かったんですけどね(そっちにも少佐と伯爵が出て来る話があります)。
でもやっぱり青池さんの漫画キャラの中で一番惚れているのは少佐です~♪

投稿: マージ | 2005/03/02 00:10

>マージさん

 こんばんは。

 おお、やっぱりマージさんは「エロイカ」フリークだったんですね!  というのは、読み始めてしばらくして、マージさんはきっと読んでいるに違いないと確信して、過去ログのインデックスを調べさせていただいたことがあるんですよ(^^ゞ。まだ書いていらっしゃいませんよね? 思いが深すぎるのかしら?

 私はまだ4巻なんですが、今のところは伯爵>少佐なんです。でも、「エロイカ」の人気=少佐の人気みたいなので、今後の展開による気持ちの変化を楽しみにしています。

 そうそう、エッセイにもモデルのミュージシャンの話が出ていました。キャラクターガイドも面白そうですね。

 

投稿: Tompei | 2005/03/02 01:02

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