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2005/03/04

『進化しすぎた脳』(池谷裕二)

進化しすぎた脳 (ブル-バックス)
進化しすぎた脳 (ブル-バックス)

 『海馬』『記憶力を強くする』に続いて、池谷さんの本は3冊目になります。これは、池谷さんが実際に少数の高校生を相手に行なった「脳について」の講義を本にしたものです。

 内容の難易度としては、『海馬』と『記憶力を強くする』の中間程度でしょうか。実際の講義をそのまま本にしてあるため、口語体で書かれており、難しい内容もわかりやすい言葉で噛み砕いて説明されています。内容的には前の2冊と重なる部分がありますが、私としては、繰り返すことによって理解がより深まった感じです。

 タイトルになっている「進化しすぎた脳」とは――。人間の体は環境にあわせて進化してきたけれど、脳は環境に適応する以上に進化してしまっていて、それゆえに、全能力は使いこなされていない。これは一見無駄とさえ思えるけれど、この「余裕」ゆえに、将来、予期せぬ環境に出会った時にスムーズに対応できるはず。つまり、脳の過剰進化とは安全装置のようなものと考えられる。

 これ以外にも、脳に関する興味深い話が満載。個人的には、とくに「意識」についての話が面白かったです。意識とは、①表現を選択でき、②短期記憶(ワーキング・メモリ)が働き、③可塑性(過去の記憶)がある、という3つを満たすもの。感情はもちろん無意識だし、人間の行動のかなり多くは無意識によるもののようです。

 また、「心」は脳が生み出したもので、脳がなければ「心」はない……でも、体がなければ脳はないわけだから、結局、体と心は密接に関係している、という点も印象に残っています。

 脳について考えることは、「人間とは何か」「自分とは何か」を考えること。脳は、私そのもの。だから、面白い。脳についてはまだ解明されていないことのほうが多いそうですが、すべてが解明される日はやって来るのでしょうか? すべてを知りたいような、知らないほうがいいような、複雑な気持ちです。

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コメント

こんばんは。

最近、糸井重里さんの「ほぼ日」内のバックナンバーをパラパラ見ていたりするのですが、
その中にこの本の著者・池谷さんの連載「海馬」を発見したので、
思わずお知らせに来てしまいました。
http://www.1101.com/brain/index.html

2年前の連載ですし、最初にご紹介されていた『海馬』は糸井さんとの共著なんですよね。
と言うことは、もうそんなのはご存知だったかな?
その場合は「サクッ」と無視して下さいませ~^^;

※私は今、「80代からのインターネット入門」を読んでいます。
http://www.1101.com/mother_A/index.html
これもかなり面白いです!

ではでは(^^)/

投稿: tako | 2005/03/05 21:54

>takoさん

 こんばんは。

 「ほぼ日」の「海馬」について教えてくださって、ありがとうございます。「ほぼ日」の存在は知っていたけれど、実際にじっくり読んだことがなかったので、この機会にこの「海馬」をはじめ、いろいろ読んでみたいと思います。

 「80代からのインターネット入門」も面白そう! 「80代から」っていうのがすごいですね~(^^)。

投稿: Tompei | 2005/03/06 00:08

Tompeiさん、こんばんは。
またまた登場でしつこいかしら?と思ったのですが、
>実際にじっくり読んだことがなかったので
とのコメントを読んで思わずまた来てしまいました。

もしかして「『新選組!』withほぼ日テレビガイド」もご存知なかったでしょうか?
http://www.1101.com/2004_TV_taiga/index.html
私も読み始めたのはもう後半40回も近くなってからだったのですが、TVの本編とこの連載(座談会)とでとても楽しむことが出来ました。
「今更…」と言う気がしないでもないですが、お時間があったらぜひ一度覗いてみて下さい。
他にもオススメのコンテンツはたくさんあるのですが、これだけは!と思ったもので…気に入っていただければ幸いです。

では、何度も失礼しました。

投稿: tako | 2005/03/06 00:28

>takoさん

 おはようございます。たびたびありがとうございます。

 実は「新選組」のもちゃんと読んでいないのですよ。そういうのがあることは知っていたのに……。さっそく「ほぼ日」にアクセスして、改めて内容をチェックしてみたら、興味深いコラムが満載。しかも字が大きくて、○眼の目にやさしいのも嬉しいかぎり。まずは、「新選組」から読んでみることにします(^^)。

投稿: Tompei | 2005/03/06 11:19

「記憶力を強くする」私も読みました。面白いですよね~。年をとってもまだまだ出来ることあるかな~なんてポジティブにさせてくれる本でした。

投稿: ビアンカ | 2005/05/02 16:30

>ビアンカさん

 そうなんです。池谷さんの「脳はいくつになっても鍛えられる」という言葉を信じたい! 池谷さんの本を読んで興味を持ち、最近は脳に関する本を読んでいます。

投稿: Tompei | 2005/05/02 22:34

こんにちは。
「ど風呂グ」からTBさせていただいたのですが、間違えて2回も送信してしまいました。ひとつ削除してください。「海馬」も面白いですよね。

投稿: c-man | 2005/09/24 23:38

はじめまして。
私も読んだばかりです。
環境の進化と脳の進化。
脳の宝の持ち腐れ?あるいは余裕の分。
意識の定義づけも説得力がありうなってしまいました(笑)

>すべてを知りたいような、知らないほうがいいような、複雑な気持ちです。

私は、自分が生きている間にはすべてが解明されることはないだろう、と楽観しております(笑)

レビューのTB送らせて下さいませ。
追伸:Tompeiさんの文体、なんだか好きです(笑)

投稿: ふる | 2007/02/07 17:04

>ふるさん

 はじめまして。コメントありがとうございます。

 一昨年は脳に興味を持ち、脳に関する本を何冊か読んだのに、すでにだいぶ忘れてしまっていて残念に思いました。悲しいかな、脳の働きが衰えつつあるようです。自分の過去記事を読んで、いろいろ思い出したような次第。そんなきっかけを下さったことを感謝します。

 ふるさんのブログにも後ほどお邪魔させていただきますね。

投稿: Tompei | 2007/02/07 23:33

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