映画『ローレライ』
夫が出張で不在の今週末は、友人と映画&もんじゃの土曜日を楽しみました。原作『終戦のローレライ』を回し読みした3人で、いざ初日の映画館へ。
フリッツが出ないと知った時からあまり期待しないようにしていたのですが、やはり映画は原作とは別物でした。上下2巻のあの長編を2時間ほどの映画にするのは、土台無理な話。そんなことはわかっているものの、やっぱり物足りない! スタッフやキャストの気合は伝わってきましたが……。
原作では登場人物の背景や潜水艦「伊507」に乗るまでのいきさつが丹念に書き込まれ、それによって「伊507」でのそれぞれの行動に感情移入できましたが、映画は表面的なストーリーを追うのが精一杯。原作のメッセージ性が弱まり、単なる潜水艦アクション映画になってしまったのはとても残念でした。原作の中で効果的に使われていた童謡『椰子の実』が使われないのも大いに不満。
ただ、潜水艦内部を見られたことは、私にとって大きな収穫です。原作に詳しい説明がありましたが、この方面に疎い私にはさっぱり想像ができなかったので。でも、ローレライシステムは映像化によって陳腐なものになってしまった印象……あれは小説を読んで想像するほうがいいようです。
キャストの中ではやはり絹見艦長の役所広司の好演が光り、クライマックスまでの緊迫感が伝わってきました。折笠の妻夫木聡、木崎の柳葉敏郎もなかなかよかったです。そうそう、上川隆也の作家って誰? 子? 孫?
この映画の撮影中、乗組員のキャストたちは一度も本物の海を見ていない(海のロケがなかった)そうです。そのせいか、空の色に本物の輝きがなく、潮風の香りがしませんでした。いくらCGの技術が進んでも、そのあたりは本物の映像にはかなわないということでしょうか。
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終戦のローレライ〈1〉 (講談社文庫)
終戦のローレライ〈2〉 (講談社文庫)
終戦のローレライ〈3〉 (講談社文庫)
終戦のローレライ〈4〉 (講談社文庫)
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