さくらの花の散る下に
例年に比べて遅く咲き始めた桜も、この数日の初夏のような陽気に一気に満開に向かっています。この週末は絶好のお花見日和になりそうですね。
日本人にとって桜に対する思いには格別のものがあり、桜は昔からたくさんの和歌や俳句、詩、歌に詠われています。みなさんはどれがお好きですか?
私はまず、芭蕉の「さまざまのこと思い出す桜かな」。年を重ねるにしたがって、この句を実感できるようになってきました。そして、「願わくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月の頃」と歌った西行の気持ちも……。桜はただ美しさを愛でるだけではなく、人生を考える花のようです。
毎年、この季節になると、ふと思い出す詩があります。「さくらの花の散る下に小さな屋根の駅がある」で始まる詩……小学生の時、暗誦させられたので、うろ覚えながら記憶に残っているのです。検索にかけたら、嬉しいことに全文わかりました。これだからインターネットはありがたい! 私と同じように小学生の時に覚えたという方もいて、ますます嬉しくなりました。こんな詩です。
花ふぶき
さくらの花の散る下に、
小さな屋根の駅がある。
白い花びらは散りかかり、
駅の中は、
花びらでいっぱい。
花びらは、男の子のぼうしにも、
せおった荷物の上にも来てとまる。
この村のさくらの花びらをつけたまま、
遠くの町へ行く子もあるんだな、
待合室のベンチの上にも、
白い花びらは散りかかり、
旅人は、花びらの上にこしかけて、
春の山脈をながめている。
(阪本越郎)
この詩のページの挿絵までよみがえってきます。いや、挿絵ではなくて、あの時想像した光景かもしれませんが……。子どもの頃、無理やり覚えさせられた詩や俳句や和歌はこんなふうに何十年後までも残って、折々に何かを感じさせてくれることもあるんですね。
ところでここ数年は、「桜坂」(福山雅治)「さくら(独唱)」(森山直太朗)「さくら」(ケツメイシ)など、「さくら」のつくヒット曲が多いですね。さて、今年の桜を見ながら、みなさんの心の中に流れるBGM、あるいはBGポエムは何でしょう?
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コメント
同じです。私もその詩が何十年も忘れられずにいました!お仲間がいてなんだか・・嬉しい!
投稿: ロッキングチェア | 2009/04/11 09:33
>ロッキングチェアさん
はじめまして。コメントありがとうございます。
もしかしたら同じ教科書を使っていたのかもしれませんね(^^)。詩や短歌などの暗記って苦痛だったけれど、何十年も経ってからそのありがたさがわかってきました。
投稿: Tompei | 2009/04/11 23:28