« ひめゆり問題 | トップページ | 『先達の御意見』(酒井順子) »

2005/06/14

『負け犬の遠吠え』(酒井順子)

負け犬の遠吠え (講談社文庫)
負け犬の遠吠え (講談社文庫)

 今更ですが、『負け犬の遠吠え』を読みました。というのは、酒井さんの新刊『先達の御意見』を読むにあたって、この本のテーマになっている『負け犬の遠吠え』を読んだほうがより楽しめそうに思ったから。

 ご存じのとおり、「未婚、子ナシ、30代以上の女性」を「負け犬」と称して、その実態や問題点をいろいろな角度から検証、分析したエッセイ。著者は、自分の立場をあえて「負け犬」と呼ぶことによって、自らの弱点を認めたほうが生き易いのではないかと考えているだけで、人間を勝ち負けで二分できないことは承知の上でこの言葉を使っています。ここでも便宜上、酒井さんの定義による「負け犬」という言葉を使います。

 実は私は、「負け犬」期を経て、30代半ばで結婚したうえ、子供がなく、「勝ち犬」の定義「普通に結婚して子供を産んでいる」に当てはまらないので、心理的には「負け犬」に近いものがあります。だから、この本のかなりの部分は「わかるわかる」「そうなのよ」と共感しながら、苦笑しつつ面白く読みました。

 私は、酒井さんのような才能にも美貌にも恵まれてないごく普通のOLで、「会社に数年勤めたら、結婚退社するのが普通」と思っていたのに、気がついたら立派な「負け犬」になっていたのです。いろいろな要因がありそうですが、今思うと、結婚するために躍起になるのは格好悪いとか感じていた節がある……結婚はあくまでも恋愛の結果と思いたかったようです。

 30代半ばで結婚したのは、この人となら何とかやって行かれそうと思ったからだけど、その根底には「子供を産むことを想定できる結婚のラストチャンス」という思いがあったのは確かです。無意識のうちに、「負け犬」から「勝ち犬」への軌道修正を図ったのかもしれません。が、思うように行かないのが人の世の常。結局、それぞれの人生を歩いていくしかないのです。

 「負け犬」気質は類を呼ぶのか、私のまわりには「負け犬」がぞろぞろいます。彼女たちの顔を思い浮かべながら、そして自分の行く末に思いを馳せながら、「負け犬」にまつわる問題をいろいろ考えさせられました。「負け犬」という言葉だけがセンセーショナルに取り上げられて、独り歩きしているのは残念なことです。

|

« ひめゆり問題 | トップページ | 『先達の御意見』(酒井順子) »

コメント

酒井法子さんの別の本が明日届くのです。
たのしみ!

投稿: | 2005/06/15 00:37

>涼さん

 こんにちは。

>酒井法子さん

 それ、のりピーですってば!(^^) 酒井違い(^^ゞ。

 本の感想を楽しみにしています。

投稿: Tompei | 2005/06/15 12:12

私この本まだ読んでないのですが、定義はどんぴしゃ「負け犬」道を一直線に走りぬいてます。母は「生きてる間に子供の顔が見たい」と言ってお見合い写真をFAXでおくって来ますが、「お母さんがすればぁ」(父逝去)で物別れ。まだまだ負け犬生活続きます!

投稿: ayakokin | 2005/06/15 14:45

>ayakokinさん

 こんばんは。

 我が家でもありましたよ、母からのお見合い攻勢(^^;)。何度もバトルが繰り広げられました。そして、本人も母も「もしかして、ずっと独身のままかも?」と思い始めた頃、結婚の話がまとまったんです。人生、何があるかわかりません。

 結婚も悪くはないですよ……と一応言っておくことにします(^^ゞ。でもね、負け犬生活も楽しかった! 独身か既婚かというより、30過ぎの若さゆえ楽しかったのかもしれないけれど。今をおおいにエンジョイしてくださいね!

投稿: Tompei | 2005/06/15 19:41

∥>酒井法子さん

∥それ、のりピーですってば!(^^) 

やっちゃったー (-_-;)
こういうのもプライミング記憶かしら? (^_^;)

投稿: | 2005/06/15 20:32

こんばんは。
私は酒井さんの本からこの言葉が流行って以来
周りが「負け犬」に分類してくれることで、
むしろとても楽になった感があるんですよねー。
なにしろ金箔付きの「負け犬」ですから(^^ゞ
本人とうに開き直っていた部分を
やっと周囲も認めてくれたというか…(笑)

将来はどうなるかわからないけれど
もし間違って結婚する羽目になっても(^_^;)
おそらく「勝った」とはもう思わないでしょうねぇ。

投稿: マージ | 2005/06/15 21:28

 涼さん、マージさん、おはようございます。

>涼さん

 「プライミング記憶」って何だっけ? とググって調べたことを告白します(^^ゞ。やっぱり、私の海馬はかなりお疲れみたい(;_;)。

>マージさん

 マージさんのような方がいらっしゃる一方で、「負け犬なんてひどいじゃない」と怒ったり、落ち込んだりする「負け犬」もいるようです。30代の微妙な年頃だとまだ余裕がないのかもしれませんね。

 人生の勝ち負けなんて死ぬまでわからないし、他人様の人生と比べてどうこういう問題ではありませんよね。ただ、自分が選ばなかった別の生き方がちょっと気になるのは確かかな。

投稿: Tompei | 2005/06/16 08:11

Tompeiさん、皆さん こんにちは!
私は「負け犬」という言葉に抵抗があります。
それぞれの価値観、感じ方の問題だと思うので、勝ち・負け というと、ちょっと違うんじゃないかなぁ・・・と。
(まぁ、私の場合は「負け犬」というよりも「出戻り」ですが(^^;)

> 母は「生きてる間に子供の顔が見たい」と言って
ウチも似たようなモンですよ(お見合い攻撃はありませんが)。
「もう3人も孫(兄の子供たち)がいるんだからイイぢゃん」て言ったら、「それとこれとは別」なんて言われました・・・(-_-;
結婚したからって必ず子供が生まれるとは限らないのに(^^;
お子さんがいらっしゃらなくても、ご夫婦で楽しまれている方もたくさんいて、それも素敵だなぁと思います(^-^)

投稿: アリス | 2005/06/16 12:26

>アリスさん

 こんばんは。

 酒井さんは元々、"勝ち負け"とは関係なく「負け犬」という言葉を使ったようだけど、実際に"負け"という言葉が入っているんだから、そう簡単には割り切れないものがありますよね。自分から「私って負け犬だから」と言える人でも、他人から「あなたは負け犬」とは言われたくないと思うし……。

 いろいろな生き方があることを認識しつつ、自分の人生を自分らしく生きていくしかありませんね。ないものねだりはやめて、今持っているものを大切にしなくちゃ。

投稿: Tompei | 2005/06/16 19:40

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『負け犬の遠吠え』(酒井順子):

» 高学歴トラップ −なぜ高学歴女は売れ残るのか?− [金融日記]
こんにちは。藤沢Kazuです。 今日は皆さんが常日頃から思っている疑問に科学のメスを入れていきたいと思います。 表題の通り「なぜ高学歴女は売れ残るのか?」と言う疑問です。 私の勤務する外資系投資銀行は30代独身女の巣窟です。 男性は本当に次々と結婚して子供... [続きを読む]

受信: 2005/06/19 22:26

« ひめゆり問題 | トップページ | 『先達の御意見』(酒井順子) »