『記憶力を伸ばす技術』(ドミニク・オブライエン)
記憶力を伸ばす技術―記憶力の世界チャンピオンが明かす画期的なテクニック
サブタイトルは「記憶力の世界チャンピオンが明かす画期的なテクニック」。子どもの頃、失読症と診断され、16歳で学業を断念した著者は、30歳を過ぎてから3ヵ月間の記憶力トレーニングを受けて、トランプカード6デッキ分を記憶できるようになりました。世界記憶力コンテストで8回優勝するまでになったオブライエンの暗記術とトレーニング法が紹介されています。
オブライエンがどのようにトランプを記憶しているか、というと――。まず準備段階として、52枚のカードを人物(知り合いとか有名人)に置き換え、永続的に使える独特の画像を考えておく。宿場の数が52の旅を頭に定着させる。いざスタート。めくったトランプが表している人物がその順番の宿場にいる場面を想像して、記憶を定着させていく。
これは「旅のメソッド」といって、著者がすべての記憶テクニックの最高峰と考えている記憶法で、記憶の三大重要要素(想像、連想、位置付け)を適用しています。「旅」というのは、順番がはっきりしている何らかのコースで、例えば、通勤コースなど具体的にイメージできるものが適当。まずは、10個ぐらいの宿場(目標物)の旅から練習するといいようです。
つまり、記憶するためには、記憶しやすい超現実的な画像を作り出す想像力と、本質的に異なる2つの事柄を結びつける連想力が大切というわけ。想像力や連想力をつけることが記憶力を伸ばすことにつながるというのは、意外な気がしました。一見遠回りのように感じますが、脳全体を刺激して脳力を高めることによって、記憶力も強化されるようです。
記憶力のチャンピオンの記憶術を垣間見られて、たいへん興味深く読めました。と言っても、正直なところ、このトレーニング法を1から試してみる気にはなれませんが、部分的に取り入れてみたいものはいくつかあります。次の言葉を肝に銘じて、脳を鍛え続けたいと思います。
永久に不滅の素晴らしい記憶力を手に入れるための「勝利への鍵」は、何よりもまず、「自分の記憶は衰えたりはしない」という自信を持つことなのだ。
| 固定リンク
コメント
「記憶」という作業は、子供の頃から、一番イヤな作業でした。今では「忘れること」が、もりぷとんの得意技と理解しています。
今でも、記憶するのは”遠いところにある興味”で、色んな記憶法などを目にするたびに”知らん顔”をして生きてます。
オブライエンさんの暗記術ならば、確かに、ものごとを記憶するのに便利と思いますが、その前に「ものごとを記憶したい」という欲求が、その人の心になければ、こうした方法も意味を持たないんでしょうね~。
もりぷとんは、本当に記憶しないので、考えを「マインド・マップ」という図に書いて”記録”します。考えをまとめるツールでもあります。
パソコンではフリーソフトで描くツールもあるのですが、そんなにパソコンの前に座ってもいられないので、普段は”真っ白のノート”と、”3色ボールペン”を持ち歩いています。
そのノートに、”思考中の脳の中”を図示して記録していくと、自分の考えが”地図”となって映像として見えます。これを”記憶”はしませんが、再度ノートを見たときに、そのときの”思考中の脳の中”が瞬時によみがえって、詳細まで思い出せます。
いわば、内部記憶装置が貧弱なので、外部記憶装置に頼っているという感覚なのかも知れません。
投稿: もりぷとん(Moripton) | 2005/07/03 02:44
>もりぷとんさん
こんにちは。
そうなんです。「記憶したい」「記憶力を伸ばしたい」というモチベーションを維持しないと、こうした記憶術をものにすることはできませんよね。
ノートと3色ボールペンを携帯して、考えていることを記録していらっしゃるとのこと……自分の思考を整理し、記録するにはいいアイディアですね。私なんか、漠然と考えては、記録も記憶もしないまま、その考えがどこかに消えていく状態です。たいした思考ではないけれど、ちょっと問題ですよね。
興味深いお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
投稿: Tompei | 2005/07/03 10:49