« 日帰りバスツアー | トップページ | 「西城秀樹コンサート2005」 »

2005/10/18

『さよならバースディ』(荻原浩)

さよならバースディ (集英社文庫 (お52-3))
さよならバースディ (集英社文庫 (お52-3))

 ひさしぶりに現代ミステリーを楽しみました。と言っても、ミステリーとしては平凡の部類に入りそうですが、事件の鍵を握る(?)「バースディ」という名のボノボ(ピグミーチンパンジー)が愛らしくて、夢中になって一気に読んでしまいました。

 舞台は霊長類研究センター。そこで、ボノボに言語を習得させる「バースディ・プロジェクト」をめぐって、事件が発生します。主人公の研究員、田中真がバースディと一緒にその真相を暴くことになりますが……。以下、多少のネ
タばれあり。

 研究センターにおける権力争いも、センター内のラブロマンスもよくある話ですが、ボノボのバースディの存在がストーリーに厚みを持たせ、クライマックスの謎解きに至るまで重要な役割を果たしているのが面白かったです。ただし、真相に驚き、それが解明される場面には興奮かつ感動したものの、少々技巧的過ぎて不自然な気がしたのも確か。死を前にした人間があんな複雑なことをするか?! 

 バースディは、例えば真(まこと)の涙を見ると、「まこ」(真のこと)「め」「みず」という特製キーボードをたたきます。こうした2、3文字の短い単語を100近く覚えていて、それを使って状況や気持ちを表現するのです。サルにこんなことが可能なのか、と疑問に思って調べてみたら、実際にアメリカでボノボに言語を教えるプロジェクトが行なわれていて、キーボードを使って会話をするボノボがいるそうです。

 荻原浩と言えば、若年性アルツハイマー病をテーマにした『明日の記憶』で話題になっていますね。こちらも図書館に予約を入れてあります。

|

« 日帰りバスツアー | トップページ | 「西城秀樹コンサート2005」 »

コメント

こんにちは!私は娘を産んでから本を読むことからだいぶ離れていましたが、時々ふっと読みたくなり先日読んだのが、荻原さんの『神様からひと言』でした。
一時期、会社勤めもしていたので、わかるわかる!!と言う所や思わずぷっ(^v^)と笑えてしまう作品でした。私も『明日の記憶』読んでみようっと。

投稿: ゆみえ | 2005/10/18 16:36

>ゆみえさん

 おはようございます。

 私、荻原作品はこれが初めてでした。何かの書評を読んで、この小説のことを知ったのですが、実は名前も知らなかったんですよ。いろいろなテーマの小説を書いているようなので、他の作品も読んでみたいと思います。『神様からひと言』も面白そうですね。

投稿: Tompei | 2005/10/19 08:00

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『さよならバースディ』(荻原浩):

« 日帰りバスツアー | トップページ | 「西城秀樹コンサート2005」 »