« 「時代MAP」シリーズ(新創社編集) | トップページ | 『東京懐かしの昭和30年代散歩地図』(ブルーガイド編) »

2005/11/07

『ALWAYS 三丁目の夕日』

 予告編を見た時から、この映画を楽しみにしていました。昭和30年代東京生まれの私としては、あの時代が映画になることが嬉しくて、どんなふうに描かれるのか、大きな期待と少々の不安を抱きつつ、映画館の席に着きました。そして、心憎い導入部から一気に昭和にタイプスリップして、夕日町の住民たちと一緒に泣き笑いしてきました。

 古きよき時代、と安易に言い切るのは好きではないけれど、確かにあの頃は物質的に豊かでなかった分、将来に対する夢があったような気がします。近隣の人間関係がもっと濃密で、よくも悪くも干渉しあって暮らしていました。そのあたりがうまく表現され、子役も含めて主なキャストたちがみな生き生きと演じていて、上質の映画に仕上がっていました。

 映画館は、映画の主人公たちと同じ世代から、平成生まれまで、さまざまな年代で賑わっていましたが、それぞれ楽しく観られたのではないでしょうか? 今や、携帯電話も携帯用ゲームも当然のように持っている子供たちには、あの時代がどのように写ったか、聞いてみたいような気がします。

 登場人物や物語の面白さもさることながら、ディテールまでこだわった夕日町のセットやCGによる映像も非常によくできていて、にんまりしながら堪能しました。建設中の東京タワーがだんだん高くなっていくようすは、時代を象徴していて効果的。都電が走る町並みもよくできていました。私が知っている都電(ベージュに赤いライン)と違うので違和感がありましたが、33年当時はああいうツートンカラーだったのですね。上野駅は、私の中では今もあんなイメージ……昨年ひさしぶりに行ったら、すっかり変わっていてびっくりしました。

 アドバルーン、駄菓子屋の「スカ」のくじ、氷を入れる冷蔵庫、うやうやしくカバーをかけたテレビ、湯たんぽ、行商のおばさん、土管の置いてある空き地、などなど……いちいち「あったあった」と反応してしまいました。それから、「くださいな」という呼びかけ。家と家の間の隙間を通って学校から戻る子供たち。

 あれから47年……東京タワーは東京の変遷を見守り続けてきて、どう感じているでしょう? これから50年後……夕日はやっぱり美しいでしょうか? 原作のコミックも読んでみたくなりました。

関連記事:
『東京懐かしの昭和30年代散歩地図』(ブルーガイド編)

ALWAYS 三丁目の夕日 豪華版
ALWAYS 三丁目の夕日 豪華版


|

« 「時代MAP」シリーズ(新創社編集) | トップページ | 『東京懐かしの昭和30年代散歩地図』(ブルーガイド編) »

コメント

こんにちは^^

これは絶対行こうと決めてる映画です。

Tompeiさまの記事を読ませていただいて再度決心を新たにしました。

私は田舎育ちなので、どんな印象になるか、とっても楽しみになりました。

投稿: 桜桃 | 2005/11/07 14:54

Tompeiさん、桜桃さん こんにちは!
「三丁目の夕日」は、前の会社の社長がビッグコミックオリジナル(「三丁目の夕日」が連載されている漫画雑誌)を買っていて、私の買っていたヤングジャンプとトレードしていたのでよく読んでいました。

やっぱり古き良き「昭和」はイイですね。
一話完結で読みやすく、最後にはほろりとさせられたり、あったかい気持ちになります。

1990年にTBS系でアニメ化もしたよーですよ。
(現在、火曜日18:30~19:00に東京MXテレビで再放送中!)

投稿: アリス | 2005/11/07 16:34

こんなニュースもありました。

昭和30年代、平成に浸透 フルーツ牛乳、商店街…ブームから文化へ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051107-00000001-san-soci

投稿: アリス | 2005/11/07 17:02

 桜桃さん、アリスさん、こんばんは。

>桜桃さん

 夫と夫婦割引で観たので、鑑賞後はいろいろと昔話で盛り上がりました(^^ゞ。子供の頃の記憶って、微妙な年の差が大きく響くようです。

 どうぞ楽しんできてくださいね。

>アリスさん

 地元の図書館に「三丁目の夕日」があったので、さっそく予約を入れました。原作の愛読者の方の感想はイマイチみたいですよ。思い入れの強いものには評価が厳しくなりますからね。

 アニメ化もされているんですね。明日、忘れなかったら見てみます。

 ヤフーニュースの情報も教えてくださって、ありがとうございます。フルーツ牛乳、なつかしや~(^^)。アリスさんは知らないでしょうね(^^ゞ。

投稿: Tompei | 2005/11/07 18:49

『世界、ちょいびき!』です。トラックバック(TB)を誤って複数にわたり送ってしまいました。当社記事中の参考/お薦めブログのひとつとしてご紹介するつもりでのTBでした。以後、注意いたします。申しあけありませんでした。

投稿: ちょいびき編集部 | 2005/11/07 19:27

予告編を見ながら、見に行きたいなぁと思いつつまだ行ってません。
テレビ局が絡んだ映画だと、あぁ見損なっちゃったと思っているうちにテレビ放映だったりするんですよね。(なんて言ってるとまた見損なっちゃいそう)

しかし、なんであの頃の空き地、原っぱって土管が転がってたんでしょうかねぇ。

# 今でも土管が転がってるドラえもんもどうかと思いますけど

投稿: 隊ちょ〜 | 2005/11/07 21:41

>ちょいびき編集部さん

 はじめまして。トラックバック&リンク、どうもありがとうございました。

 後のTBを残して、前の分を削除させていただきました。

 英語学習のサイトなんですね。またゆっくりお邪魔させていただきます。

投稿: Tompei | 2005/11/07 23:10

>隊ちょ~さん

 こんばんは。

 観たい映画でも、公開されて時間が経つと、「まっ、観なくてもいいか」と思ってしまいがちなので、最近は早めに映画館に足を運ぶようにしています。

 あの土管は下水管なのでは? あの時代は下水工事が盛んだったから。

 そういえば、夕日町には井戸もありました。私が物心ついた頃には、我が家の周辺では井戸は見られなかったけれど、33年にはあったのかな???

投稿: Tompei | 2005/11/07 23:27

こんにちは、この映画は我が家の主婦と高3の娘が二人で見てきて泣けたと推薦されています。スカのくじ!。ビニールにはいったチクロ入りのジュースもあった頃ですね(笑)。カバーをかけたテレビは四本足でたっていっるやつですよね。ど田舎育ちで東京の文化とは微妙にずれもあるかもしれませんが、これはぜひ見に行こうと思っています。

投稿: | 2005/11/08 07:57

>惑さん

 こんにちは。

 「スカ」なんて言葉、ずっと忘れていました。映画鑑賞後、夫と「毒々しい合成着色料とチクロのジュースを飲んでいたけれど、誰も病気にならなかったよね」と話しましたが、実はどこかに害が出ていたりして? その後、観音開きの家具調テレビも登場しましたよね。とにかく、テレビはありがた~いものでした(^^)。

 感想を楽しみにしています!

投稿: Tompei | 2005/11/08 11:09

こんばんは、そっか、昭和の話ねー。出てこないわけにはいきませんねぇ (笑)
原作はコミックですか。検索してみたら、いっぱいありました。どうしようかな。
映画も長いこと見てないしなぁ。目が大丈夫かな。つれあいを誘ったら 喜ぶだろうな。すぐ泣くのですよ。

と、逡巡しております。

投稿: | 2005/11/08 22:29

祐天寺には、現役の井戸+ポンプがありましたよ、少なくとも昭和40年くらいまでは……

投稿: 隊ちょ〜 | 2005/11/08 22:40

 涼さん、隊ちょ~さん、こんにちは。

>涼さん

 原作のコミックには根強いファンがいるようです。どんな本か、楽しみ……読んで、気が向いたら(^^;)感想を書きますね。

 ご夫婦で鑑賞されると、昔話に花が咲くこと、受けあいです。どうぞ楽しんでいらしてください!

>隊ちょ~さん

 そうですか、祐天寺あたりには井戸があったのですね。それって、戦前からのものが健在だったということですよね? 実家の周辺は空襲で焼けて、区画整理などがあったので、残っていなかったのかもしれません。

 風邪、お大事にしてくださいね。

投稿: Tompei | 2005/11/09 09:50

当時は戦後建てられた(と思います)アパートの一角にありました。

そう言えば、あの辺って戦災をどの程度受けたんでしょうか、考えたことも無かったなぁ。

戦争ってはるか大昔のことだと思っていたんですが、そんなに前の話ではなかったんですよね。

投稿: 隊ちょ〜 | 2005/11/10 08:40

>隊ちょ~さん

 昭和33年は終戦から13年。今から13年前というと、バルセロナオリンピックが行われた1992年……ちょっと前という感覚ですよね。当時の大人たちにとっては、戦争はちょっと前のことだったんだな、と感慨深く思います。

 井戸のことなど、下町で生まれ育った母に今度聞いてみます。

投稿: Tompei | 2005/11/10 10:54

見てきましたよ。泣いてきました。泣いて笑ってハッピーエンド。この物語が平成の東京では背景に無理があることが実は大きな問題なのかもしれませんね。でもとにかく楽しめました。トラックバック打たせてもらいました。

投稿: | 2005/11/13 09:56

三丁目の夕日、私も観ました。泣けましたよ。都電で神谷町から高円寺へ行けたのだろうか、という疑問を検索してたらこちらにつきました。
行けたんですね。乗り継ぎをしたようには見えませんでしたが。

ところで原作本ですが、愛読していたので、予告編を観てから改めて本屋、古本屋で探しました。ところがないんです。月別に再編集して全12冊にしたのはあったんですが、普通の単行本はどこに行っても見当りません。出版社が回収したんじゃないかと勘ぐってます。

投稿: toyotama | 2005/12/05 18:20

>toyotamaさん

 はじめまして。コメントありがとうございました。

 都電で神谷町から高円寺って、首をかしげますよね。私は気になることがあると、つい調べてみたくなるんです(^^ゞ。

 図書館で借りてきたのも月別バージョンでした。これはこれで面白いけれど、オリジナルを読んでみたいです。今度、探してみます。

投稿: Tompei | 2005/12/05 23:18

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『ALWAYS 三丁目の夕日』:

» 映画「ALWAYS 三丁目の夕日」 [って、どーよ]
待ちに待っていた映画「ALWAYS 三丁目の夕日」を封切初日に観てきました。 [続きを読む]

受信: 2005/11/07 12:48

» ALWAYS・三丁目の夕日 [青空と星空の狭間・・。]
ALWAYS三丁目の夕日という映画を観た。 今までは映画を見た人が号泣している [続きを読む]

受信: 2005/11/07 12:57

» 泣かせるぜ、『ALWAYS』 [たなぼた]
懐かしき昭和の時代がテーマという映画『ALWAYS』を観た。 案の定、場内はおっ [続きを読む]

受信: 2005/11/07 13:04

» 「脱戦後」の瞬間を描いたAlways三丁目の夕日 [Spotlight 英語で歩く、噂の現場-choibiki's BLOG-ホンモノで学ぶ、英語を学ぶきっかけ探し]
「世界一」のタワーが、敗戦の屈辱から立ち上がろうとしている日本の首都に建設されている時代でした。日本は国連に復帰する(1956年)も、冷戦が始まり、国内外がイデオロギーで二分する時代でした。まもなく、高度成長期が始まるまでの数年はちょっとした混迷期。そのひとコマ、昭和33(1958)年がこの映画の舞台になっています。映画では、青森から集団就職で上京してきた少女の口から、「口減らし」なんていう表現も飛び出すほどです。地方での暮らしは、楽ではなかったようです。写真は、このリンク先の“大...... [続きを読む]

受信: 2005/11/07 19:17

» always 3丁目の夕日 [お気楽映画館]
昭和33年の古きよき日本を舞台に、家族の触れ合いを描いた心温まる人情ドラマ。下町の住民たちには、吉岡秀隆、堤真一、小雪、薬師丸ひろ子ら豪華メンバーが集まり、昭和の雰囲気を存分にかもし出している。『Returner リターナー』などVFXを使用した作品の多い山崎貴監督が...... [続きを読む]

受信: 2005/11/07 20:23

» 『ALWAYS 三丁目の夕日』 [erabu]
監督・脚本・VFX(*)、山崎貴。原作、西岸良平(さいがん=りょうへい)『三丁目 [続きを読む]

受信: 2005/11/08 01:34

» 『ALWAYS 三丁目の夕日』 [京の昼寝〜♪]
携帯もパソコンもTVもなかったのに、どうしてあんなに楽しかったのだろう。 ■監督 山崎 貴■原作 西岸良平 ■キャスト 堤 真一、吉岡秀隆、小雪、薬師丸ひろ子、掘北真希、須賀健太、小清水一揮、もたいまさこ、三浦友和□オフィシャルサイト  『ALWAYS 三丁目の夕日』 舞台は、建設中の東京タワーが少しずつ空へ伸びていく昭和33年。 夕日町三丁目で、慎ましく�... [続きを読む]

受信: 2005/11/09 12:11

» ALWAYS三丁目の夕日 評価額・1700円 [Blog・キネマ文化論]
●ALWAYS三丁目の夕日をTOHOシネマ浜松にて鑑賞。 昭和33年の東京。短気 [続きを読む]

受信: 2005/11/11 10:30

» 物はなくても豊かだった時代◆『ALWAYS 三丁目の夕日』 [桂木ユミの「日々の記録とコラムみたいなもの」]
11月9日(水)TOHOシネマズ木曽川にて 昭和33年。東京タワーが完成するこの年に、青森から上野駅に集団就職で六子(堀北真希)がやってきた。就職先は鈴木則文(堤真一)とトモエ(薬師丸ひろ子)が経営する鈴木オート。立派な会社を期待していた六子は、小さな町工場だと...... [続きを読む]

受信: 2005/11/11 23:32

» ALWAYS 三丁目の夕日 [ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!!]
人気blogランキングに参加してます! ここを一度クリックして頂けるとありがたいです。 ご協力お願い致します。 今日、僕の家へ新しい家族がやってくる。 集団就職で青森から来た六ちゃん。 怒りん坊のお父さんと、優しいお母さん。 駄菓子屋の茶川さんは、....... [続きを読む]

受信: 2005/11/12 02:52

» 縁もゆかりもない赤の他人 [わくわく日記]
都立高1年の同級生、古山優亜さん(15)が同級生の少年(16)に殺されるという事 [続きを読む]

受信: 2005/11/13 09:22

» 見てしまいました・・・・感動の「三丁目の夕日」必ずあなたも見なさいよ! [「感動創造カンパニー」ダスキン城北の部屋!仕事も人生も感動だっ!]
楽しみにしていた映画を見た。「三丁目の夕日」。 泣いた。 一言で、この映画を述べるのであれば「ぬくもり」であろう。これほど、ぬくもりを感じさせてくれる映画は少ない。 それぞれの出演者がいい味を出しており、BGMが涙を後押ししてくる。特に、駄菓子屋の売れな....... [続きを読む]

受信: 2005/11/14 16:16

» 「ALWAYS 三丁目の夕日」を観た [Fancy Pet]
あちこちでいいと評判の「ALWAYS 3丁目の夕日」を思い立ってレディスデイの朝 [続きを読む]

受信: 2005/11/16 15:25

» 「ALWAYS 三丁目の夕日」と失われた小さな幸せ [万歳!映画パラダイス〜京都ほろ酔い日記]
 平日の夜に、ガラガラの映画館で、一人で映画を観るのは実にわびしい。ひどく寒い。観たのは「ALWAYS 三丁目の夕日」という大ヒットマンガをベースにした日本映画。本当は韓国映画の「私の頭の中の消しゴム」を観たかったのだが、きょうは恋愛映画を観る気分でなか....... [続きを読む]

受信: 2005/11/18 10:07

» ALWAYS 三丁目の夕日 [toe@cinematiclife]
泣いたわよ。 まさかと、自分でも思ったけど、泣いたわよ。 まぁ、最近、涙腺ゆるゆるだけどね。 でも、きっとまだの人も、見ると泣くかもよ。 <STORY> 戦後間もない東京下町、東京タワーのすぐ近く。 いろんな生活がそこにはあった。 駄菓子屋・茶川商店の茶川竜之介(吉岡秀隆)は、作家を目指して応募をし続けているが、どれも落選してばかり。 茶川商店の向かいの鈴木オートは、社長の鈴木(堤真一)が、青森か... [続きを読む]

受信: 2005/12/02 18:17

» ALWAYS 三丁目の夕日 今年の234本目 [猫姫じゃ]
ALWAYS 三丁目の夕日 泣いた、、、 ホント、久しぶりに映画館で見た。札幌で、夜の出撃に備えて、英気を養うためにぶらぶらしていたんだケド、この映画の評判が良いのは知っていたので、たまたま通りかかった映画館へ。 SFXとは、こういう使い方をするんだぁ! 年代は...... [続きを読む]

受信: 2005/12/10 14:45

« 「時代MAP」シリーズ(新創社編集) | トップページ | 『東京懐かしの昭和30年代散歩地図』(ブルーガイド編) »