« 江戸検定 | トップページ | 二つの訃報記事 »

2006/05/26

関西弁の「~はる」

 関西弁で使われる敬語表現の「~はる」という言葉が好きです。いわゆる敬語ほど堅苦しい印象ではなく、さりげなく敬意や丁寧さを伝えられるところが好ましい。関西弁が柔らかい印象を醸し出すのは、この「はる」によるところも大きいのではないかしら。

 例えば、「○○が来た」の敬語は「来られた」「いらっしゃった」「おいでになった」など、かなり改まった感じがしますが、関西弁の「来はった」は「来た」と「来られた」などの中間くらいの印象になります。そして一番の特徴は、友人や身内など敬語対象外の間柄にも使えること。

 関東には「~はる」に当たる表現がないため、敬語を使うほどではない場面では「来た」を使うしかなく、「来はった」を使う関西人と話していると、自分の言葉がぞんざいに思えてきます。そうかといって、こてこての関西弁である「はる」を使うわけにもいかず、関西弁の奥深さを実感しつつ、がさつにしゃべるしかありません。

 読売朝刊の連載コラム「新・日本語の現場」で今週、この「はる」を扱っていて、毎日興味深く読んでいます。この一両日は、「はる」を使う範囲が大阪と京都では微妙に違うことが論じられており、これまた面白い。

 どうやら、大阪より京都のほうが「はる」を使う範囲が広いようで、身内や物にも「はる」を使うのは京都だけという説が出ていました。京ことばの「はる」には、①相手を敬う言い回し(ふつうの敬語)、②大切な品物や動物に対するもの(例:おみこしさんが通らはる)、③身内への「はる」(相手の立場になって身内を評する意味合い、例:うちの子、よう泣かはります)、三つの用法があるそうです。

 そうそう、外国人向けに『聞いておぼえる関西弁入門』なる本が出版されていて、その中でも「はる」の使い方が説明されているそうな。「はる」を使いこなす外国人……ステキだわ。

【追記】2006年5月29日
 今日の読売朝刊に「新・日本語の現場」拡大版の方言についてのアンケート調査結果が載っています。この記事とは直接は関係ないけれど、興味深い結果が出ているので追記しておきます。
 出身地の方言を使う人と使わない人はほぼ3対2で、そのうち出身地の言葉を使う傾向が強いのは富山、京都、奈良、鳥取、兵庫、山口、反対に東北出身者は8割が使わないそうです。
 出身地以外で話してみたい方言は、京都弁、沖縄弁、福岡弁、大阪弁。3割近くは兵庫を含める関西地方の方言。一方、耳にしたくない方言のトップも関西弁とのことです。

|

« 江戸検定 | トップページ | 二つの訃報記事 »

コメント

小学生の頃「おかさん、来てはる]と言って教師から指摘されて以来、家族には使っていない 涼 です。
必ずしも いわゆる「敬語」とは限らないのですよ(と思っているだけかもしれませんが)。

便利なので、結構使っていますがね。今度お会いしたら、いっぱい使って見せますね。

一度書きかけていたので、もしかしたら書くかもしれません。その際は、トラックバックさせていただきますね。

投稿: | 2006/05/26 20:58

すみません、確認せずに送信しました。

∥「おかさん、来てはる]

は、「おかあさん、来てはる」の間違いです m(_ _)m

次の行も、そのまま続けると変ですね。
ま、いっか!

あ、おとーさん うるそう言うてはるよって、ご飯にしてきますわ。

投稿: | 2006/05/26 21:03

>友人や身内など敬語対象外の間柄にも使えること。
そうなんですよね。お姉ちゃん行かはった?お父さんお仕事行きはってん・・・。家庭内では普通に使ってます。

で、奈良ではそこに“や”がはいります。

来やはる(来られる)。しやはる(なさる。)

>今度お会いしたら、いっぱい使って見せますね。
ハイハイ、お相手させていただきますね^^


投稿: 桜桃 | 2006/05/26 22:17

 涼さん、桜桃さん、こんばんは。「はる」を使いはる(この使い方でいいかな?)お二人のコメント、頼もしく読みました(^^)。今度ナマの「はる」をたくさん聞かせてくださいね。

>涼さん

 きっとその先生は「お家の人には敬語を使わないように」って言いたかったんでしょうけど、「おかあさん、来てはる」は間違ってませんよね。「はる」のそういう敬語未満な(?)ところが私は好きです。

>桜桃さん

 桜桃さんのお宅ではいつも使っているんですね。いいなぁ! 東京弁では「お姉ちゃん、行ったの?」「お父さん、仕事に行ったわよ」……愛想がないのよね。

 「来やはる」や「しやはる」は大阪や京都では使わないんですか? そのあたりの微妙な違いはまるでわかりません。

投稿: Tompei | 2006/05/26 23:17

ごぶさたです。
「~はる」って京都弁かと思っていたのですが関西で広くつかうのですね。
この語感はけっこう好きです。
北海道弁ってこの手の言葉はないですね。
逆にタメ語になるような語尾が多いのではないかと思います。

投稿: みつ | 2006/05/26 23:46

桜桃さん、

最近は「……へる」は、使いませんか?

Tompeiさん、

∥「はる」を使いはる

「使いはる」は、京都かな? 大阪は、「使わはる」を、使わはるんとちゃうかなぁ。

みつさん

京都は「京都弁」とは、言わはらへんのどす。「京ことば」って、言わはるんどすえ。
でも、この辺りの言い方も死語かなぁ。
京都・大阪・奈良の三都?使い分け??の 涼 でした。


投稿: | 2006/05/27 00:39

 みつさん、涼さん、桜桃さん、おはようございます。

>みつさん

 みつさんは北海道のご出身なんですか? 北海道って、例えば、関西や九州や東北のような典型的な方言がないような印象がありますが、そんなことはないのかしら。タメ語になるような語尾って、どんなものでしょう。

>涼さん

>「使いはる」は、京都かな? 大阪は、「使わはる」を、使わはるんとちゃうかなぁ。

 そのあたりの活用が難しいけれど、それを間違えると「ニセ関西弁」になっちゃいますね。「使っている」は「使うてはる」になるのかしら?

>桜桃さん

>奈良ではそこに“や”がはいります。

 「使やはる」なんて言うの? それとも、「や」は一部の動詞だけ?

投稿: Tompei | 2006/05/27 09:25

>「使やはる」なんて言うの?
これは、“使わはる”だけど、よく考えたら“使いはる”って言ってるかも・・・。でもくだけっところでは“つこてはる”

“や”がはいるのは、すると、来る、だけですね。行くは“行きはる”ですね。

う~ん、考えているうちにわからなくなってきた・・。

あ、それから、“言う”も私たち関西弁圏仲間でメールするときは“ゆわはる”“ゆうたる”って書いたりします。って、仲間内のメールは関西弁です^^;;;; わざわざ変換できないのにあえて関西弁でメールします。あほ~~。


涼さん
>最近は「……へる」
これ、どういうときでしょう・・。わからないです。

言葉って、やっぱり奥が深いですね^^

投稿: 桜桃 | 2006/05/27 23:08

>桜桃さん

 こんにちは。

 コメント通知メールが来ないので、危うく見落としそうになりました。やっぱりココログは信頼できません(--#)。

 言葉って、ふだんは意識しないで使っているから、改めて考えてみると意外にわからないものかもしれませんね。

 メールも関西弁とは面白い(^^)。メール(とくに携帯メール)はおしゃべり感覚だから、話し言葉をそのまま使うほうが自然なのかも。関西弁仲間には関西弁、それ以外は標準語と使い分けるバイリンガルって、ある意味すごい。東京弁オンリーの私にはそういうのが実感できないわ。

投稿: Tompei | 2006/05/28 13:36

今職場で一緒に働く、娘と同じ年の子が関西出身でで
「いてはります」とよく言っています。
なんだか、はんなりと優しい言葉で
なごんじゃいます。(笑)

両親が関西なので、関西弁は親しみやすい言葉です。
母も郷に帰ると一気に関西弁が帰ってきて
やたらと「あかん」とか「ういこっちゃ」と言いまくっています。

キツイ言葉もあるけど、優しく感じる言葉の方が多いですよね。
関西の人からは「関東の言葉は早口でキツイ」と良く言われるのですが
まさに私はその両方で、滑舌良くはきはき早口です。(^^;

同じ事を言っても、音やアクセントでずいぶんと変わりますね。
癒されたいです。(∩_∩)ゞ

投稿: 陶片木 | 2006/05/28 20:22

>陶片木

 おはようございます。

 陶片木さんのご両親は関西ご出身なんですね。ということは、陶片木さんは関西弁の風情を肌で感じて育ったんでしょうね。

 私は東京下町生まれ、おまけに母も下町生まれのため、早口で品がなくてぶっきらぼうな話し方(^^;)。公式の場や初対面の人と話す時は猫かぶって多少は気取って話しますが、親しくなるとつい地が出てしまいます。話し方ってお育ちが出るから怖い!

>同じ事を言っても、音やアクセントでずいぶんと変わりますね。

 本当にそのとおり。やんわりと、かつ説得力のある話し方をしたいものです。

投稿: Tompei | 2006/05/29 08:47

>涼さん
>京都は「京都弁」とは、言わはらへんのどす。「京ことば」って、言わはるんどすえ。

ああ、そうですよね。京ことばですよね。
昔、大阪の友達に「京都と大阪、奈良、神戸はみんな違う」ということを言われましたが、私にはさっぱり(笑)

>Tompeiさん
北海道と一口に言っても所によって違いますが「~っしょ(や)」などは使います。
あと今回の話とはちょっとずれますが、うウェイトレスさんが注文の確認で「○×でよろしかったでしょうか?」などと過去形を使うことで丁寧語っぽくみせる手法をとり始めたのは北海道がはじめという話を聞いたことがあります。

内地の人とそうでない人は話をすればわかります。

投稿: みつ | 2006/05/29 15:18

>みつさん

 こんばんは。

 今日、この記事に追記を書いたんですけど、新聞に京都弁と書いてあって、そのまま使ってしまいました(^^;)。

>「~っしょ(や)」などは使います。

 残念ながらピンときませんが、今度、道産子の人たちが話しているところに遭遇したら、注意深く聞いてみます。

 「よろしかったでしょうか?」の北海道起源説は初めて聞きました。検索してみたら、そういう説が複数出てきました。以前、この言葉について書いたことがあるので、追記することにします。教えてくださって、ありがとうございました。

投稿: Tompei | 2006/05/29 20:33

桜桃さん

「…へる」は、「言いはる」と「言いへる」といった使い方。生粋の国中(くんなか)人がよー「使てへりました」
それから、ATOKには関西弁変換が出来る仕様があります。つこたことないけど。

Tompeiさん

「はる」からは逸れるのですが、「しいひん(しない)」が「しやへん」となったり(大阪では「せーへん」)、「見いひん」が「見やへん」となる例かなぁ。

敢えて古い例を持ってきているので、今は「つこてはらへん」こと多いかもしれませんけど。

神戸はねぇ、「大阪と一緒にせんといてほしわ」といった雰囲気を感じることがあります。

長々と、ゴメンナサイ。かんにんしとくれやす(って、死語やなぁ)!

投稿: | 2006/05/30 10:41

>涼さん

 こんばんは。

 何度もありがとうございます。関西弁には興味がつきないので、いろいろ教えていただいて嬉しいです。でも、微妙な活用が難しいので、真似しようとするとおかしな関西弁になりそう。

 私が関西弁びいきなのは、勤めていた会社が関西系企業で関西弁を聞く機会が多かったことと、田辺聖子さんの小説やエッセイの影響。田辺作品は最初、関西弁に抵抗があったのに、いつの間にか、馴染んで好きになりました。

 それから、タカラジェンヌが関西弁を使うのも一因かも(^^ゞ。指揮者の西本さんとか。つまり、ミーハーゆえとも言えそうです。

投稿: Tompei | 2006/05/30 21:28

Tompeiさんは関東の方なのですね。関東の方は関西弁が嫌いなのかと思っていましたが関西弁のフアンで宝塚がお好きと知って親しみを感じました。タカラジェンヌには東京出身者が多いのでお芝居の時には関西出身者は関西弁が出ないように苦労すると聞いたことがあります。逆に関西弁のお芝居の時はいつもよりちょっといばって発音やイントネーションなどを関東の子に指導するということでした。(古い作品ですが「冥土の飛脚」覚えておられます?月組で主役は剣幸、こだま愛、大阪の船場が舞台でした。)「~しはる」も日常でよく使いますが身内に使う例は結婚してから娘の友達のお母様方がよくいっておられるのでちょっとびっくりしたことがあります。「うちの子~しはるの。」という具合に。
京都の出身の方が多いせいでしょうね。それでは又。

投稿: みかん | 2006/06/15 10:17

>みかんさん

 こんにちは。

 イントネーションというのは微妙だから、舞台で慣れない方言を話すのはたいへんそうですね。ほとんどOKでも、何かの拍子にぽろっとおかしな言い方をしてしまいそう。そういうのって、現地の人が聞くとすぐにわかるんですよね。

 「冥土の飛脚」……「心中・恋の大和路」ですね。うたこさんたちのは観ていないけれど、その後の再演で観ました。

 自分の子供にも「……はる」を使う例はやはり結構あるようですね。同じ関西圏の方でも少しずつ認識が違うようで、関東人にはそのあたりの機微がさっぱりわかりません。

投稿: Tompei | 2006/06/15 14:38

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 関西弁の「~はる」:

« 江戸検定 | トップページ | 二つの訃報記事 »