『昭和史(戦後篇) 1945→1989』(半藤一利)
一昨年読んだ『昭和史 1926→1945』の後編。前編同様、著者の講義を文章に書き起こした本なので、分厚い本にもかかわらずとても読みやすく、敗戦後の日本がどのように復興して現在の状態に至ったかが、1930年生まれの著者の実感を交えてわかりやすく語られています。
とくに、アメリカの占領下、GHQによる指令で日本が大きく改革させられた時代に多くのページを割き、順を追って詳しく説明されており、たいへん興味深く読みました。天皇象徴制、主権在民、戦争放棄を謳った新憲法成立までの紆余曲折、戦争犯罪人を裁いた東京裁判など、聞いたことはあるけれどよく知らないことが種明かしのように語られ、「そうだったのか」と納得しました。
こうして歴史を詳しく読むと、歴史の流れや世界情勢、国の事情など動かしがたい状況はあるにしても、為政者たちの考え方や姿勢が国を左右することを実感します。政治なんて誰がやっても大差ないと白けた気持ちでいてはいけないようです。
ふだんはお気楽に自分のまわりのことしか考えていない私ですが、知らず知らず日本の行く末を案じてしまいました。私利私欲に走らず、大局を見据えて日本を導く大人物が出てこないものか……まずは、そういう人物が出てくるような土壌を作らなければなりませんね。日本人であることを誇りに思えるような国になって欲しい、と願わずにはいられません。
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