『続 徳川の夫人たち』(吉屋信子)
『徳川の夫人たち』の続編。お万の方の一代記の本編に対し、この続編はそれ以降の大奥の年代記で、代々の御台所や側室をはじめ、大奥を取りしきる御年寄や上臈について語られます。
将軍は、京都の宮家や摂関家から輿入れしてきた御台所のほか、数人の側室を置くのが常だったので、お世継ぎをめぐる争いが起きるのは必定。お付きの女中たちも含めて、さまざまな確執や策略が入り乱れます。大奥というと、そのあたりを興味本位に取り上げられることが多いのですが、吉屋信子は、そうしたややこしい組織を取りしきる才女たちに共感を寄せて描いているので、読んでいるうちにこちらまで贔屓になってしまいます。
中でも印象に残っているのは、綱吉時代の取締役・右衛門佐、江島生島事件で大奥を追放された江島、江戸城明渡しの際の御年寄・滝山。彼女たちの凛とした生き方にあこがれます。タイムスリップできるものなら、大奥を実際に見てみたい。いや、どうせなら女中として働いてみたい。将軍や御台所にお目通りできる御目見得の下っ端あたりで。
そういえば、年末に公開される映画『大奥』は、絵島(江島)が主役(仲間由紀恵)とのこと。この小説では、江島と生島との間にスキャンダルはなく、江島は幕臣たちの謀略の犠牲になったという解釈でしたが、映画ではどういう展開になるのか、興味深いところです。
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コメント
こんにちは
Tompeiさん、早!
若~いころ読んだ記憶があります・・・。がコロッと忘れてまして。面白そうですねえ。確か、どこかに本があったはず・・。再読してみたいです。江戸物大好き^^今は別の江戸物読んでます。
テレビの大奥といえば、昔~、昼ドラでありましたよね。そちらが印象的で。でも、フジテレビのお万の方の瀬戸浅香さんもなかなかよかったですね^^
>いや、どうせなら女中として働いてみたい。
ええ、おお!私はTompeiさんが髷を結って働いてるのを覗き見したい・・^^;
投稿: 桜桃 | 2006/07/13 14:44
Tompeiさん、「絵島事件」って結構有名な事件なのに謎が多いようですね。私はあまり詳しくは知らなかったのですが去年テレビの「所さんのトホホな歴史人物伝」でとりあげられていたのが印象に残っています。大奥の取締役があんなに厳しい取調や刑罰を受けること自体珍しいことで、絵島が亡くなるまで閉じこめられていた場所も逃げられないように戸には錠が下りていて食事も着物も粗末な物しか与えられなかったそうです。いったい何のためにそんなことをされたのでしょう?政治的な争いに巻き込まれたとしたらとんだ災難ですよね。たとえお世継ぎ争いでも対立者は殺されることになっていたのですから今の世の中は平和なのかも。それでは。
投稿: みかん | 2006/07/13 15:39
桜桃さん、みかんさん、こんにちは。
>桜桃さん
引き続き、今『天璋院篤姫』を読んでいます。大奥、好きだわ~(^^ゞ。
>テレビの大奥といえば、昔~、昼ドラでありましたよね。
岸田今日子がナレーションをやっていたのでしょ? あのナレーションを聞くだけで、大奥の怪しさが伝わってきましたよね。
>覗き見したい・・^^;
そう言わずに、一緒に働きましょ! 「誰それ様(女!)は素敵」とかウワサしながら(^^;)。
>みかんさん
絵島事件の詳細はわからないことから、小説や映画、ドラマではいろいろ脚色されているようですね。松本清張の『大奥婦女記』では、生島が菓子屋のセイロに入って大奥に忍び込み、絵島と密会するという設定でした。そんなことできるわけないと思うんですが……。絵島と生島のロマンスは実在したというほうがお話としては面白いですから。新作の映画もそういう展開になりそうですね。
投稿: Tompei | 2006/07/14 10:46
これも、先に書かれていた「徳川の夫人たち」(お万の方の話)も、新聞連載で読んでいました(読むことだけはませてたのよ)。
テレビでは。お万の方が佐久間良子で家光が江原真二郎。御台所がエーッと顔は浮かぶのに名前が出てこない。その弟があとで名前を変えた秋野某だったわ(いつの話や)。
投稿: 涼 | 2006/07/14 16:51
>涼さん
こんばんは。
この小説は本編も続編も朝日新聞に連載されたそうですね。調べてみたら、本編が連載されたのは昭和41年で、その翌年にテレビ朝日(当時はNETテレビ)系でドラマ化されたようです。佐久間良子、江原真二郎の他、春日局を杉村晴子、藤尾を岩崎加根子が演じたとのこと。
ウィキペディアで大奥のドラマを調べたら、フジテレビ系列のものしか載っていなくて、詳しくわからないんです。残念!
私、昔はこういう時代小説をあまり好みませんでした。嗜好が変わったのはトシのせいかも?(^^;)
投稿: Tompei | 2006/07/14 21:13