『大江戸神仙伝』(石川英輔)
現代の中年男性が19世紀初めの江戸にタイムスリップしてしまう小説。現代人から見た江戸の町のようすや庶民の暮らしぶりが丁寧に描かれ、自分も江戸に行ったような気持ちになって楽しめます。
主人公の速見洋介はタイムスリップした江戸で、芸者いな吉と所帯を持って江戸暮らしを始めます。いい人に囲まれ、たいした苦労もなく江戸に融け込んでしまうあたり、ストーリーの甘さは否めませんが、江戸の見聞録としての面白さがそれを上回ります。
科学畑出身の石川氏はこの小説を書くために100冊以上の関係書を読んで、時代考証の細部まで調べたとのこと。そのため、時代背景や風俗や言葉が正確なので、江戸のテキストとして読むこともできそうです。ちなみに、石川氏はこのシリーズの執筆がきっかけとなり、最近は江戸風俗研究家としても活躍しています。
ただ気になるのは、著者の江戸時代への思い入れと、明治以降の日本の欧米化に対する批判が随所に顔を出すこと。考えそのものにはある程度共感できるけれど、たびたび登場するので鼻白みます。が、それでも、「現代人が体験する江戸時代」という設定がとても魅力的なので、続く『大江戸仙境録』『大江戸遊仙記』と読み進めています。「洋介さん、ちょっと調子に乗りすぎですよ」と思いつつ……。
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コメント
私、ほんとうにお恥ずかしい限りなのですが。
歴史知りません。。。(高校時代、地理選択)
さっぱりですーー;
たまに、大恥かきます(涙)
面白くて、勉強になれば一番いいし。
ちょっと、この本読んでみようかなぁ
という気になりました。
まずは、江戸から^^
投稿: Ayakokin | 2007/03/17 18:27
お名前も、タイトルも全く知りませんでした^^;;
早速ゲットします。
最近、全然本が進まない・・。宿題ばかり増えて(;_:)
投稿: 桜桃 | 2007/03/17 21:22
Ayakokinさん、桜桃さん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
>Ayakokinさん
主人公はかつて製薬会社の研究所に務めていて、今は科学評論家という設定なので、理科系のAyakokinさんと視点が近いかもしれません。脚気の治療、盲腸の手術などが出てくるので、面白く読めるかも? ダメ出ししちゃうかしら?
ただし、3巻目の『遊仙記』は江戸の名所で遊ぶ話ばかりなので、1、2巻目とは印象が違います。気が向いたら、勉強と思わず面白がって読んでみてくださいね。
>桜桃さん
この著者は、NHKの『お江戸でござる』の解説を杉浦日向子さんから引き継いだ方なんです。私はこの番組を観たことありませんが、それを知って興味を持ったようなわけです。
江戸風俗に関する本もたくさん出しています。どの本でも一貫して、江戸礼賛&欧米化批判を声高に主張しています。そこがちょっと鼻に付くのよね(^^;)。
投稿: Tompei | 2007/03/18 00:52
お江戸オフの後、私もちょっぴり江戸時代に興味を持ち、江戸の本を読もう!!と思っていたのですが、忙しさにかまけて、その決心もどこへやら・・・
この本、面白そうですね~!
本屋さんでチェックしてみます(*^o^*)
投稿: Leaf | 2007/03/18 01:23
>この著者は、NHKの『お江戸でござる』の解説を杉浦日向子さんから引き継いだ方なんです。
まぁ!そうなんですか。
私も読んでみたいです。
最近本屋でも江戸関係の本をたくさん見かけるようになりました。
やっぱり流行っているのかしらん?
とすれば私達、時代の先端をいってるのね(^^;;
投稿: ぶんぶん | 2007/03/18 15:31
Leafさん、ぶんぶんさん、こんばんは。
>Leafさん
読書って波があるみたいで、読める時はどんどん読めるけれど、読めない時は時間があってもダメだったりします。無理しないで波に従えばいいんじゃないかしら。
この本、結構古いし、あんまり売れてないみたいで(^^;)、本屋さんでは見つかりにくいかもしれません。私は図書館で借りました。
>ぶんぶんさん
『お江戸でござる』を観ていなかったことがとても悔やまれます。杉浦さんのお話を聞きたかったなぁ!
>やっぱり流行っているのかしらん?
江戸検定の影響が少なからずありそうですね。私もその一人なんだけど(^^ゞ。つい150年位前まで、今とは全然違う社会があったというのが興味深いですよね。知れば知るほど面白いの……今のところ。
投稿: Tompei | 2007/03/18 19:22
石川氏の本も 何冊かは読んでいます。
お江戸・・・のTVもドラマは好きじゃなかったんけど日向子さんの話だけは聞いていました。
最近図書館へ行ってないなぁ~。
投稿: chie | 2007/03/20 09:14
>chieさん
こんにちは。レスが遅くなってごめんなさい。
『お江戸でござる』は全然見たことがないんです。本当に残念。当時は江戸にそれほど興味がなかったの。江戸ものの小説をたまに読む程度でした。
江戸に関する小説やエッセイなどで面白いものがあったら、ぜひ教えてくださいませ~!
投稿: Tompei | 2007/03/21 12:13
たまたま、jinの検索をしていて見つけました。「大江戸神仙伝」とは
違うかも知れないけれど、同じ内容でTVドラマ化されたことが
あります。滝田栄主演で化学者がタイムスリップをして(何度か
往復する)江戸時代でビタミンB1を作って脚気を治すというもの。
平賀源内がでてきたりして、最後に現代に戻った後、世話になった
医者の日記「江戸神仙伝」?を図書館で見つけるという内容だった
ように記憶していますが、20年以上前だったように思います。
たぶんjinと同じTBSで日曜ドラマだったような気もします。かなり
不確定な内容で、しかも2年以上前のものにコメントをつけるなど
暴挙ですが、お許し下さい。
投稿: きみ | 2009/12/19 09:30
>きみさん
はじめまして。コメントどうもありがとうございます。
愚挙なんてとんでもない! 過去記事へのコメント大歓迎です。
へぇ、滝田栄がそんなドラマをやっていたんですか。まったく知りませんでした。当時は江戸時代に興味がなかったので、やっていることにも気がつかなかったのかもしれません。見られる機会があるといいなぁ!
「JIN」はいよいよ最終回。どう決着がつくのか楽しみです。
投稿: Tompei | 2009/12/20 01:18