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2007/03/19

日本の医療の現状

 昨日3月18日の朝刊に掲載されていた日本医師会の全面広告を読みましたか? PASMOやSuicaの広告のようなイラストもなく地味なものでしたが、内容はかなり衝撃的でした。

 見出しは「今、日本の産婦人科・産科の半分はお産を受け入れられない、という事実があります」。要旨は次のとおり。

・地域の産科が次々と閉鎖に追い込まれていて、将来50万人の「お産難民」が発生する可能性がある。
・「休日・夜間急患センター」に子供を連れて行っても小児科医がいない、という事態が全国各地で起きている。
・その要因は、地方と都市部における医師数の格差、人口1000人当たりの医師数の少なさにある。

・国の方針により、5年後の平成24年3月末までに、「長期療養者のためのベッド」は現在の38万床から15万床まで削減される。それによって、「医療難民」が2万人、「介護難民」が4万人発生する恐れがある。

・WHOから「健康達成世界一」と評価されてきた日本の医療は今や、崩壊に向かっている。
・日本医師会は、医療の崩壊を食い止め、医療の未来を守っていきたい。みなさんのご意見をお聞かせください。それを国に訴えかけていきます。


 この広告で指摘されているように、産婦人科医や小児科医の不足が深刻な問題になっています。つい先週も、激務からうつ病になり自殺に至った小児科医の労災を認定する判決が下されたばかり。医師の数が足りないから、労働状況は悪化する一方で、その結果、そういう多忙な科を研修医が選ばなくなり、ますます不足するという悪循環に陥っているようです。けれども、国はこうした状況に真剣に向き合おうとはしていません。

 一方、長期療養者用ベッド(ほとんどは高齢者介護用)の削減はすでに始まっていて、入院していた病院から強制的に退院させられて途方にくれる老夫婦の話を実際に耳にしました。増え続ける医療費の削減のためとは言え、これから老人がどんどん増えるのにベッド数が半数以下になってしまうなんて、現実に即した対策とは思えません。自宅で家族が介護するのが理想ではあっても、いろいろな事情からそれができない人が大勢いるのです。

 健康に恵まれて病院と縁がない時は、医療に関心を持たない人が大半だと思いますが、いざ病気になった時に安心して病院にかかれなくてはたいへんです。お産をするのも一苦労、年を取るのはさらなる不安……それが"美しい国"の現状です。みんなが医療に関心を持って、声をあげていかなければますますひどいことになりそうなので、手始めに記事にしてみました。

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コメント

この広告、見落としてました(汗)。
Tompeiさんの日記で、あわてて数日前の新聞を捜したら、
朝日新聞は3月19日(月)付けの朝刊に載っていました。

日本の医療崩壊は小児科から始まり、
産婦人科、そして救急医療に広がって、
医療全体に及ぶ日が、すぐ近くまで来ています。

その事実に、もっと目を向けていかねば、と思っていた矢先に、
こうして日記に取り上げてくださって、ありがとうございました。
とても嬉しいです。

投稿: mymy | 2007/03/20 14:05

その広告は見てませんでした。。。
最近、私が通っていた学校の付属病院も(学校が付属なんですけどね。)産科が無くなったのを、最近聞いたばかりでした。

医療は安心して、(お金を気にせず)いざというときにはしっかり受けたい!と思います。

その為に、どーしたらいいのか?
きっと、一人ひとりが考えないとダメですね。

投稿: Ayakokin | 2007/03/20 23:02

昨年我が家にいた義母が入院していた時
この先どうなってしまうのだろうと不安でした。
もしも長期入院させてくれていたとしても
光熱費など支払わねばならなくなるし、
リハビリも途中で打ち切られるわけですものね。
医療が進んで寿命が延びて
その後に楽しい生活があればいいけれど、
ろくにリハビリも出来ないようだったら、
人間らしい生活に戻れないよなぁ。
その病院では、老人用の介護施設など
3箇所新たに作っていました。
最低でも月10万、年金が無いときついね。
私たちの世代は年金どうなるかわかんないし(--;)

投稿: TOKIKO | 2007/03/21 01:19

mymyさん、Ayakokinさん、TOKIKOさん、こんにちは。
レスが遅くなってごめんなさい。

>mymyさん

 さっそくmixiの日記に取り上げてくださって、ありがとうございます。医師側の意見や感想もわかるので、興味深く読ませていただいています。

 この広告が出た翌日の朝刊の一面トップ記事が「430病院 救急指定返上」という記事でした。医師の確保が困難で救急指定を撤回せざるを得ない病院が増えているそうです。

 医師全体の数が激減しているとは思えないのに、何故、ここに来て、こういう問題が噴出しているのか、疑問は膨らむばかり。医療の問題にはこれからも注目していきたいと思います。

>Ayakokinさん

 付属の学校がある病院と言えば、かなりの規模の病院ということ……そこに産科がなくなるというのは由々しき問題ですね。「お産難民」がすでに発生しているかもしれません。

 ごく普通に仕事をして普通に暮らしている一般市民が、安心して病院にかかれないという事態はどこか歪んでいますよね。

>TOKIKOさん

 「長生きするリスク」を考えなくちゃいけないなんて、悲しすぎますよね。寝たきりになって寿命だけ延びても嫌だなぁと思うけれど、実際に家族がそういうことになったら、それでも長生きして欲しいと思うだろうし、難しい問題です。

 私たちが70、80になる頃にはどういうことになっているのか、想像もできませんね。年金もお小遣い程度だろうし、お金がなくて病院にかかれない老人が激増しそう。考えてもしょうがないけれど、考えると暗くなります。

投稿: Tompei | 2007/03/21 12:58

医療費が高騰して、今、日本の国民皆保険制度も崩壊しそうですよね。
診療報酬が年々引き下げられている現状では、病院の規模縮小も仕方のないことかもしれません。
安心して医療を受けられるようにする為には、スウエーデンのような社会保障システムを導入するしかないのかもしれませんね。

投稿: Leaf | 2007/03/23 00:48

>Leafさん

 スウェーデンは消費税が最高25%、給料の半分以上は税金だそうですから、そこまでお金をかけないと社会保障制度は充実しないのかもしれませんね。

 診療報酬の引き下げによって、病院は余分な検査などをして点数を上げているようで、結局、医療費は高騰しているんですよね。これもまた悪循環です。

投稿: Tompei | 2007/03/23 12:12

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