『あなたがパラダイス』(平 安寿子)
更年期の女性をめぐる三話のオムニバス小説。そして、沢田研二賛歌でもあります。何かの書評でこの本のことを知って、平安寿子(たいら・あすこ)さんの小説を初めて読みました。
いやー、面白かった! まさに「そこ」にいる私には思い当たることばかりで、時に切ない程でしたが、くすりとしたり、ほろりとしたりしながら読んでいるうちに、元気がみなぎってきました。同世代の女性におすすめ。とくに、ミーハー心をお持ちの方はすごく共感できると思います。長年のジュリーファンにはたまらないでしょうね。
独身のまま更年期を迎えて、初めて恋心を知る敦子。実の両親と夫の両親が相次いで倒れて、介護問題に直面するまどか。不妊のため離婚した後、更年期障害が出て戸惑う千里。それぞれの本音がユーモアを交えて語られ、「うんうん、わかるわかる」とうなずくことしきり。三話ともジュリーの存在が絡んでいますが、ファン心理が実に丁寧に書かれていて、これまた「そうなの、そのとおりっ!」と興奮しました。
ちなみに、私は小学校時代、ジュリーのファンだったけれど、それは淡いあこがれで、この小説のジュリーに当たるのはヒデキであり、宝塚であり……。ミーハーに関しては、「バカだよなぁ」と自覚しつつずっとやめられずにいますが、この小説を読んだら「ミーハーも捨てたもんじゃない」と思えました(笑)。コンサート会場や劇場はまさしくこんな場所なのです。
ここは、パラダイス。生きてきたこと、生き抜いていくことへのご褒美がもらえる場所。だから何にも考えず、ただ夢中になれる。たまにパラダイスでご褒美をもらいながら、更年期や老いに堂々と立ち向かおうじゃないの……つらくてたいへんなのは私だけじゃないんだから。そんなふうに思わせてくれた小説でした。
更年期だけど、先がある。それも、さほど長くはない。だから、若かった頃の何倍も、生きていることを愛したい。
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コメント
こんにちは。
Tompeiさんの紹介文を読んでいるだけで元気が出ました (^-^)
ありがとうございました。
いくつになっても誰かに恋したり何かに夢中になることって大事ですよね!
いいホルモンいっぱい分泌されそうですし(笑)
投稿: アリス | 2007/06/05 15:27
>アリスさん
こんにちは。
元気が出た? それはよかった!(^^)
更年期なんて、アリスさんにとっては先の先の話。アリスさんは花の独身だしホルモン全開なんだから、まずは身近な対象に恋をしなくちゃね(*^^*)。ハッピーな報告をお待ちしています。
投稿: Tompei | 2007/06/05 19:02
おもしろそうですね。
機会があったら読んでみます。
ミーハーとか追っかけとか、パワーがなくちゃできませんもの。
若さの秘訣ですよね!
投稿: ゆれい | 2007/06/05 19:08
>ゆれいさん
最近、ミーハーのパワーが減退しているので(これでもダウンしているの(^^;)、気合を入れなおして頑張りたいと思います。ゆれいさんもぜひご一緒に!
図書館で借りるか、文庫待ちで読んでみてくださいね(^^)。ところで、ゆれいさんはタイガースを知らないかも?
投稿: Tompei | 2007/06/05 21:47
はいはい
>コンサート会場や劇場はまさしくこんな場所なのです。
こればかりの桜桃だと、激落ち込みしておりましたが・・・。
ご褒美ばかりか・・^^;?
でも、そんなことでめげてはいられないわよね。頑張るわ。
こうしてまた課題図書が増えるのであった。
投稿: 桜桃 | 2007/06/05 23:17
>桜桃さん
ピアノのことは門外漢なのでコメントを控えてましたが……。三冠王が必ずしもいい監督にならないし、バイリンガルが必ずしもいい英語教師にならないし、名ピアニストが必ずしもいいピアノ教師にならないし、その逆もまた然りってことではないのかな。ピアノが大好きで、子供たちにもピアノの楽しさを教えられるのは素晴らしいと思いますよ。
ご褒美に見合うくらい日常をちゃんと頑張れよ>自分。府中のチケット、無事ゲットできました(^^)。
投稿: Tompei | 2007/06/06 10:37