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2008/07/10

『耳と文章力――上手な文章を書く秘訣』(丸山あかね)

耳と文章力―上手な文章を書く秘訣
耳と文章力―上手な文章を書く秘訣

 音楽の「絶対音感」のような「絶対文章感」なるものはあるのか、を考察したエッセー。著者の造語「絶対文章感」とは、文章に対する天性の才能のこと。文章力は生まれつきの才能なのか、後天的に獲得できるものなのか、を作家や学者とのインタビューを交えつつ探っています。

 国語学者の大野晋、言語学者の外山滋比古、作家のなかにし礼、重松清、小池真理子、清水義範、大学で論文を指導する教師、聴覚障害者の言語教育に携わる大学教授、ATOKの開発会社の社員など、言葉に関わる人々のさまざまな意見が興味深く面白い。著者の結論は、

「絶対文章感」はない。けれど感受性をも含めた「文章感」は存在する。

であるけれど、その是非よりも、この問題について考える機会を与えられたことに意味がありそうです。

 とくに印象深いのは、「文章のリズムをつかむには、文章を『耳で読む』ことが必要」という点。意味だけ拾うのは『目で読む』ことで、『耳で読む』には音読するか、心の中で声を出して読まなければならないとのこと。好みの作家の文章を耳で読み、徹底的に読み込んで文章リズムを体得して、書きたいことをそのリズムに乗せて書く――外山氏推薦の文章上達法です。あとは、毎日書いて書いて書きまくるしかないらしい。

 ブログを始めて4年少々、更新頻度が低いとは言え、800近くの記事を書いているのに、一向に文章力がつかないのは絶対文章感がないからに違いない。ネット上で「いいな」「うまいな」と感じる文章に出会うと、どこが違うのかしばし考えてしまいます。言いたいことがはっきりわかるのは最低条件。その人独自のリズムがあって、押し付けがましくなく自然に個性が滲み出ていて、喜怒哀楽はストレートなのに冷めた目が同居していて、発想が柔軟かつ斬新で比喩がユニーク……そんな文章に惹かれます。やっぱりセンスなのかな?

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コメント

友人にジュニア小説を書いていた子がいるのですが
文章を書くコツはあるらしいです。
それは「ヒミツ」と教えてもらえないのですけど。

私はTompeiさんの文章は、いつも洗練されていて
すごくわかりやすく頭に入ってきます。
文章から生み出されるリズムも心地よく、心に響いてきます。
まさに柔軟かつ斬新なセンスのある文章だと思うのです。

私は説明もへただし、文章も支離滅裂だし
自分の頭に浮かんだ順に整理もせずに書いちゃうから
むちゃくちゃなことが多いのです。
今からでも訓練できる物ならばやりたい!
って思うことはしばしばです。(;´д`)

投稿: 陶片木 | 2008/07/10 19:38

私もTomepeiさんの文章は簡潔で洗練されているなぁと思っています。

私は悲しいとか面白いとか気持ちをかかなくても文章から気持ちが滲み出るような文章を書きたいのですが、現実はいつも小学生並の文章になってしまいます(;´д`)


投稿: ぶんぶん | 2008/07/10 20:19

私なんぞ年齢ばかり重ねても、満足な文章を書けずにいつも凹んでいます。
それに比べてTompeiさんの文章の知的で大人な感じの素晴らしさよ!…といつも羨望の眼差しです。
外山氏推薦の文章上達法、すごく参考になりました。
ありがとうございました。

投稿: 茶菜 | 2008/07/10 22:08

Tompeiさんの文章は、スッキリしていてわかりやすくて読みやすいので、ぢつは密かに憧れてるんですよ。(笑)
その点、私はまとめるのがヘタなので、ついダラダラと長くなってしまいます・・・

投稿: アリス | 2008/07/10 23:47

陶片木さん、ぶんぶんさん、茶菜さん、アリスさん、こんばんは。
あたたかいコメントありがとうございます。皆さんも謙遜しているけれど、それぞれのお顔が浮かんでくる素敵な文章なので、みんなで自信を持って大丈夫かも? でも、やっぱりもっと上手くなりたいですね!

>陶片木さん

 ジュニア小説作家のヒミツをお聞きしたいですねぇ。興味津々!

 文章も字も絵も上手く書けたらなぁと思いつつ、何の努力もしない私(^^;)。漫画も描けるし、陶芸もできるクリエイティブな陶片木さんがうらやましいです。

>ぶんぶんさん

 そうそう、私もズバリ悲しいとか面白いとか書いてしまう。語彙が少ないもので、いつも同じ言葉を使うことになるのです。このところ言葉がすぐに出てこないので(--;)、ますますひどくなっている感じ。脳そのものを鍛えなければ!

>茶菜さん

 『耳で読む』というのは新鮮な表現ですよね。音楽家に名文家が多いのは耳がいいかららしい。書いた文章を音読してみると欠点に気づくようです。ここの記事もアップする前にそうやって確認しないとね。せめてわかりやすい文章を目指したいです。

>アリスさん

 いやいや、アリスさんの個性は貴重です。観察力が鋭いし、発想がユニークですもん。やっぱり文章には人が表われるわね。みんなへのコメントを書いてきて、しみじみ実感しています。

投稿: Tompei | 2008/07/11 00:50

こんばんわ。
それともおはようございます?
ソネットブログの「葉桜日記」スーです。
ご訪問、ありがとうございます。
はるばる、ココログまでやってまいりましたが、
いきなり高度な内容の記事に侵入してしまった
感じでうろたえています。

耳と文章力に関係があるとは、驚きです。

わたしは耳があまりよくありません、
小学校の聴力検査で、一番高い音が聴こえなかったのです。
それがどうやら、わたしの文章が低きに流れるというか、
おバカ路線になってしまう原因だったようです。
目からうろこです!

投稿: スー | 2008/07/11 00:55

うんうん
私もTompeiさんの文章はとても分かりやすいし、押し付けがましくないし、ステキだといつも思っています。

やはり本をよく読む方は違うなあ、と尊敬してるワケです。

私なんかはやっぱり そこでお茶なんか飲みながら おしゃべりする感覚で書いています。

だから 結構自分本位で書いているので、読む側の事をあまり考えていないことも(結果的に)しばしば^^;

だからTompeiさんの文章は本当に洗練されていて羨ましいなって思いますよ♪

投稿: みるきい | 2008/07/11 08:00

あ、私がまたブログ落ちそうになる話題・・・

そうなんですよね~、いろんなことを表現したいのだけれどその力がないのをブログを書くことで再認識させられるのが辛いです・・。あ、これって、ピアノも全く同じことなの・・。とどんどん凹

Tompeiさんの場合はそんなことないですもん。と私と比べてどうする

あ、それから、TB届いてないみたい。今からもう一度再送させていただきますね。

投稿: 桜桃 | 2008/07/11 08:17

>スーさん

 こんにちは。ご訪問&コメントありがとうございます。

 同名のブログが素敵なブログで嬉しいです! 写真も文章も洗練されていて無駄がなく1日毎にひとつの作品に仕上がっていますもの。スーさんの葉桜日記に刺激を受けながら、こちらもマイペースで続けていきたいと思います。これからもよろしくお願いいたします。

投稿: Tompei | 2008/07/11 10:05

みるきいさん、桜桃さん、こんにちは。

>みるきいさん

>そこでお茶なんか飲みながら おしゃべりする感覚

 うんうん、そんな感じが伝わってきて、ほっこりしますよ。にゃんずとももう顔なじみになっている気がしちゃう。それぞれのスタンスがあるから面白いんだから、肩肘張ることないのよね。自然体が一番かもしれません。

>桜桃さん

 桜桃さんはピアニストで音に敏感だから、語感も鋭いはず。しかも、関西弁とのバイリンガルだから、語彙や表現力が豊かだしテンポがいいです。全然凹むことありません!

 今日は午後から初日観劇、行ってきます。

投稿: Tompei | 2008/07/11 10:05

私もTompeiさんの文章はスキッとしていて、
うまいなぁ、と思います。
新聞記者さんのブログを見てますが、(理系白書ブログ)と相通じるものがあるなぁと思います。
私も日々精進!(週1でした。)ブラッシュアップします

投稿: Ayako | 2008/07/12 14:22

>Ayakoさん

 ありがとうございます! 理系白書ブログ、見てみましたよ。あのブログとこれがですか?! 嬉しいけれど、畏れ多い……まだまだです。

 Ayakoさんのブログはスタイルが確立していて very nice! 仕事とプライベートとサイエンスとグルメのバランスが絶妙です。"へぇ"指数が高くて、いろいろ勉強させてもらっています。今回はコアリズムを知りました。すごい動きで見とれてしまった(^^ゞ。成果を期待しています!(^^)

投稿: Tompei | 2008/07/13 00:15

文章感などと言う言葉は初めて聴いた訳で、たぶんこのあたりでも誰も知らないと思う。ただ美味しい蕎麦を食べたときに似て、するっと喉越し良くてそれでいて蕎麦の香りも知らないうちに感じていて、新鮮な浅葱と本山葵が全体を引き締めているようなそんな文章はそうそう書ける筈も訳もないのだけれど、そういう蕎麦を美味しいと感じられる文書舌くらいは持っていたいと思っている訳で冷えたビールも美味しく味わいたい季節は夏だったりするのです。(北の国から 黒板純 風)(^_^;) 

投稿: | 2008/07/16 01:04

>惑さん

 おっ、北の国の純くん、文章感を蕎麦に例えるたぁ、オツだねぇ。さすが、神田で蕎麦を食ってたお人は言うことが違わぁ。蕎麦てえものは味わっている間もなくつつつぅっと喉を通っていくけど、美味しい蕎麦は後味が違う。面白れぇもんだねぇ。あ、蕎麦にはやっぱり酒が一番。夏は冷やがいいねぇ。

投稿: Tompei | 2008/07/16 10:08

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