『聖女の救済』(東野圭吾)
『容疑者Xの献身』に続くガリレオシリーズの長編。映画『容疑者X…』鑑賞後、気分が盛り上がって、思わず単行本を購入したのですが……うーん、期待したほどではなかったかな。いや、もちろん一定のレベルはクリアしていて、一気読みさせる力は持っていますが、『容疑者X…』のような満足感、カタルシスは得られませんでした。
今回も冒頭から犯人がわかっていて、「理論的には考えられるが、現実的にはありえない虚数解」のトリック(by 湯川)の謎を解明するストーリー。それが明らかになって驚きはしたけれど、現実味に乏しく共感できずに読後感がすっきりしませんでした。フィクションだから、現実離れしていようがうまくだましてもらえれば文句はないけれど、残念ながら相性が悪かったようです。
テレビドラマと映画で柴咲コウが演じている女性刑事・内野薫が今回、小説に登場。薫が福山雅治の歌を聴くシーンもあって、ガリレオファンへのサービスもぬかりない。しかも、草薙刑事(北村一輝)も重要な役どころなので、ドラマのノベライズ版といった趣きで、それぞれの顔や声や演技が浮かんでくるのも個人的にはあまり喜ばしくありません(天邪鬼?)。
『聖女の救済』という意味深なタイトルは、トリックがわかると「なるほど!」と納得。けれども、「献身」の犯罪の一本勝ちでした。
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コメント
こんばんは
今別の場所でもコメントしてきたところです。
「容疑者Xの献身」がよかっただけに、続けて出されると期待を上回る作品を出すのは難しいのでしょうね。
何だかテレビファンを意識したサービス過剰というのも、個人的には無しにしていただきたいです。
投稿: 涼 | 2008/11/28 18:29
>涼さん
こんばんは。お返事遅くなりました。
東野さんは高打率の作家さんですけど、それでも常に同じレベルの作品を書くのは無理というものですよね。とくに名作の次の作品はたいへんかと思います。
>何だかテレビファンを意識したサービス過剰というのも、個人的には無しにしていただきたいです。
私もそう思います。テレビはテレビで好きなんですけどね。
投稿: Tompei | 2008/11/29 00:37