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2009/02/13

『新源氏物語』(田辺聖子)

新源氏物語 (上) (新潮文庫)
新源氏物語 (上) (新潮文庫)

 田辺聖子ファンでありながら未読だった『新源氏物語』を今頃になって読みました。きっかけは、宇治十帖を舞台化した宝塚の『夢の浮橋』。これまで宝塚で上演された『新源氏物語』や『あさきゆめみし』も当然観ているのに、「本を読んでみたい」と思ったのは今回が初めて。ま、早い話が、主役の匂宮の直衣姿にときめいたわけですが(笑)、その割には背景がいまひとつ把握できずもどかしかったのです。そこで、名作の誉れ高いこの小説を読んでみた次第。

 とても面白かった! 紫の上の死までを文庫本3巻の長さにまとめてありますが、単なるダイジェストではなく、小説として楽しめるのが魅力です。田辺さんが後書に書いているように、「注釈を見なくてもすらすら読める、原文の香気の失せない面白いよみもの」になっているのです。柔らかく美しい文章に誘われて、源氏物語の世界を堪能しました。

 今まで知っている場面と場面がつながり、大きな流れをつかめて納得できました。源氏物語ということで、読み始めは少し構えていましたが、途中からは源氏と女たちの関係がどうなっていくか興味津々で、メロドラマを見ているかのように楽しんでしまいました。描かれているのは千年前の雅やかな貴族社会だけど、人の心理は今とちっとも変わりません。人間くさい光源氏を近しい存在に感じました。それにしても、"まめ"なお方。

 何故、今まで読まなかったんだろう? 枕草子を小説にした『むかし・あけぼの』は大好きなのに、『新源氏物語』に手を出さなかったのは片手落ち。遅ればせながら読めてよかった。匂宮が登場する宇治十帖版を続けて読みたいところですが、別の予約本が回ってきたので、いったん江戸時代に行ってきます。

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コメント

その昔、学生の頃、読みました。
受験前で、源氏物語を制覇するなら、読んだ方がいい、と進められて…

とても読みやすくて、源氏が苦手ではなくなったので、最近、長女に買ってあげたんです。

あの頃とは、きっと感じ方が違うし、ずいぶん忘れてるし、私ももう一度、読んでみようかな〜

投稿: Leaf | 2009/02/13 17:41

田辺聖子さんの古典文学はとても読みやすくて面白いですよね。
この本は読んでいないのですが、瀬戸内寂聴さんが書いていらっしゃる色々な源氏物語解説本も面白くて好きです。

Tompeiさんは登場人物の中のどの女性が一番好きかしら?^^

投稿: ぶんぶん | 2009/02/13 20:30

Leafさん、ぶんぶんさん、こんにちは。
あいかわらず亀レスでごめんなさい。

>Leafさん

 受験前に読んだなんて、尊敬しちゃいます。私は学生時代、古典にはまるっきり興味がなくて、試験前に教科書の文章だけイヤイヤ勉強しました(^^;)。お嬢さんは楽しく読めましたか?

 結婚、出産、子育てを経て、きっと感じ方が変わっていると思いますよ。この機会にぜひ!

>ぶんぶんさん

 田辺さんの宇治十帖を読んで、源氏モードがさらに高まったら、寂聴さんの全訳に手を出してみるかも……。移り気なのでどうなるかわかりません(^^;)。

 一番好きな女性ねぇ……うーん、考えちゃう。自分とは全然違うタイプの朧月夜にあこがれるけど、共感するのは葵の上や御息所だったりします。生霊にはなりたくないが(--;)。

投稿: Tompei | 2009/02/14 14:22

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