『おくりびと』
アカデミー賞外国語映画賞を受賞した『おくりびと』を遅ればせながら観てきました。受賞後のお祭り騒ぎに刺激されて、これは観ておかなければと思ったのです。上映している映画館が限られている上、1000円均一のサービスデーでもあり、どの回も満席の盛況ぶりでした。
実は私、こうして直接的に人の死をテーマにした映画はどうも苦手で、あえてお金を出して観に行こうと思わないたちです。身につまされるのが嫌だし、死を遠ざけておきたいという深層心理が働いているからなのでしょうが……。そんな私も、ほっとする笑いに緊張感を解きほぐされつつ、この映画を楽しめました。深刻になりすぎず、かと言って、笑いに偏らず、死を温かく柔らかい眼差しで見つめ描いている点がよかったです。
茶道にも通じるような納棺師の美しい所作には目を瞠り、厳粛な気持ちになりました。演じる本木雅弘さん、山崎努さんの巧いこと……所作も演技も素晴らしい! この日本ならではの儀式が外国人の心を捉えたのでしょうね。納棺も含めて、お葬式という儀式は死者を弔うためのものであると同時に、残された遺族やまわりの人の心を癒すためのものであることを改めて感じました。
「死は門だ」――火葬場の職員(笹野高史さん)の言葉が印象的です。誕生という門からこの世にやって来たものはみんな、やがて死という門を通らなければならないわけですね。その門がどの辺にあるのかわかりませんが、そこを通り抜ける日までこの世の生活を味わい尽くさなくては……。この世で縁のあった人とはいつかまた門の向こうで会えると思うと、少し気持ちが楽になります。
同じくこの週末、『おくりびと』をご覧になった惑さんの記事にトラックバックをお送りします。
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コメント
私も見たいなと思いつつ、TVで放映されるのを待ちそう^^;
>この世で縁のあった人とはいつかまた門の向こうで会えると思うと、少し気持ちが楽になります。
確かにそう思うと気が楽ですね。
あっちでもきっとお江戸オフしてそうだし(笑)
投稿: ぶんぶん | 2009/03/02 16:24
私もTompeiさんと同じく、
この映画を観る事に躊躇していたのですが
何人かの方に観にいったほうがいいよ
きっと、思ってる映画と違うよ
と教えていただき観た映画でした。
観終わったら暗い気持ちになりたくなくてね(^^;
でも、そんな事はなく観て良かった。
ぶんぶんさん、できれば映画館で観るといいよ~
投稿: TOKIKO | 2009/03/02 19:27
私もアカデミー賞の授賞式を見て、この映画を見たくなったのですが、近くの映画館では上映されてないんですよね〜
アカデミー授賞式では、本命といわれる作品が他にあった為、監督も本木さんも、とてもびっくりしていたのが、印象的でしたね。
投稿: Leaf | 2009/03/02 21:09
最後にサプライズだった笹野高史さんは1948年生まれ(沢田研二さん、にしきのあきらさんと同じ歳)、42歳で17歳で年下の女性と結婚されて4男は48歳の時の子供という私生活。枯れてませんねぇ(^_^;)。吉行和子さんは1935年生まれですから、あのカップルは13歳年上の女性カップルなんですねぇ。ちなみに余貴美子さんが1956年生まれです。
投稿: 惑 | 2009/03/02 22:08
ぶんぶんさん、TOKIKOさん、Leafさん、惑さん、おはようございます。
コメントありがとうございます。
>ぶんぶんさん
TOKIKOさんが書いているように、できればCMなどに邪魔されない映画館で観た方がいいかも……。
>あっちでもきっとお江戸オフしてそうだし(笑)
うんうん、してそう。まずはこっちでとげぬき地蔵までご一緒しましょう!(^^)
>TOKIKOさん
若い頃は平気だったけれど、この頃は映画やドラマは重いものを避けてしまいます。文章ならいいんだけど、映像だと苦手。どうせなら明るい気分になれるものがいいわよね。でも、この映画は観てよかったです。
>Leafさん
いつも利用している東宝シネマでは上演していなかったので、少し遠征して観たんですよ。松竹の映画だから融通がきかないんでしょうね。先週末の興行成績ベスト1だそうなので、拡大されるかもしれませんよ。どこかで観られるといいですね。
>惑さん
さすがの情報通!(っていうか、調査魔?^^;) 笹野さんがジュリーと同い年とはびっくり。舞台でも何度か観ましたが、貴重なバイプレーヤーですよね。でも、大河の秀吉は年取りすぎかと……。
アカデミー賞受賞式前後、広末涼子ばかりスポットを浴びて、余貴美子さんは映らないのが気になりました。映画では何とも言えない存在感がありましたよね。
投稿: Tompei | 2009/03/03 07:45
笹野さんがバラエティ番組に出ていてご自分でジュリーと同じ還暦なんですからって言ってたんですよ。子供が四人いて若い奥さんの話もそこのネタです。そうそう、日本アカデミー賞でも助演女優賞とっている余さんと主演女優賞は取れなかった広末さんなのに扱いが今ひとつですよね。意外に映画みていないんじゃないですかね。マスコミの人達(^_^;)
投稿: 惑 | 2009/03/03 21:56
>惑さん
やっぱり、女は若くてきれいなほうが絵になりますからね。……と、内心ちょっぴりひがみつつも、毅然として笑顔を見せなければならないのが熟女のつらいところ(--;)。
余さんと言えば、『篤姫』での斉彬の正室役が印象的。名字を「よ」と読むことは今回知りました。
投稿: Tompei | 2009/03/04 08:04
TB届いてませんよね~?
履歴では成功ってなってるんだけど・・・。
時々送ってみますね。
>余さんと言えば、
范文雀さんと従姉妹ってご存じでした?
サインはVね^^
投稿: 桜桃 | 2009/08/05 21:05
>桜桃さん
あ、ごめんなさい。2つ届いていました(ファビコンからも来てた)。承認制じゃなくてall welcome なのに、何故か、承認待ちになっていました。あいかわらずTBの不具合多し(--#)。
>范文雀さんと従姉妹ってご存じでした?
>サインはVね^^
この記事を書いた時に知りました(^^)。ジュン・サンダースね……NHK専科の桜桃さん、よくご存じで(^^;)。
投稿: Tompei | 2009/08/05 21:31