« 江戸百景めぐり<押上界隈> (その2) | トップページ | 第17回お江戸オフ《品川宿 前編》 その1 »

2009/10/05

『新参者』(東野圭吾)

新参者
新参者

 またJCBのポイントで東野圭吾の新刊をゲットして、昨日1日で読み終えました。忘れないうちに感想を書いておきます。

 お見事! 読み終わって、思わず呟きました。9つの短編が1つの長編ミステリーとして集約し完結する手法が鮮やかに決まっています。事件そのものには目新しさはなく、どんでん返しもないけれど、「さすが、東野圭吾!」と感服しました。私は連作短編より長編のほうが集中できて好きですが、この小説の魅力は連作短編集であればこそと思います。

 タイトルの新参者とは、日本橋署に着任したばかりの加賀恭一郎刑事であり、小伝馬町に引っ越してきたばかりの被害者、三井峯子であり。この小説の主役はやはり、殺人事件の舞台となる人形町界隈でしょう。事件をめぐる人々が関わり合う人形町の商店が次々に出てきて、様々な家族模様が繰り広げられます。下町の人情と家族の絆をテーマにしたヒューマンミステリー……その点では宮部みゆきの小説に通じるものがあります。

 嬉しいことに、私は人形町の「古参」なので、余計にこの小説を楽しめました。かつて通勤していたので、人形町や小伝馬町には馴染みがあります。街の雰囲気や位置関係はもちろん、人形焼の重盛や板倉屋、刃物のうぶけや、卵焼きの鳥近、喫茶の快生軒、2つの三菱UFJ銀行など、モデルになったお店が浮かんでくるのは幸せな読者と言えそう。その他のお店も具体的にイメージしながら読みました。たい焼きの柳屋が出てこなくて残念!

 もし映画化するとしたら、ロケを中心にして、人形町をアピールして欲しいな。加賀は竹野内豊なんかどうかしら?(10/6自己レス:竹野内豊は東野さん原作の映画『さまよう刃』に出演しているのね)

写真追加(2010年1月7日)
 日本橋七福神めぐりで人形町界隈を歩いたので、小説の中に出てくるお店のモデルになったお店の写真を撮ってきました。
左:刃物専門店「きさみや」のモデル→「うぶけや」
右:創業大正8年の喫茶店→「快生軒」

Img_1918Img_1931

追記(2010年2月10日):
 4月からのTBS日曜劇場でドラマ化されるそうです。加賀は阿部寛さん! ちょっとイメージとは違いますが、大好きな俳優さんなので、とっても楽しみです。

ドラマ『新参者』 (2010年4月19日)


|

« 江戸百景めぐり<押上界隈> (その2) | トップページ | 第17回お江戸オフ《品川宿 前編》 その1 »

コメント

しばらくは読書の時間はありません

東野圭吾って実は読んだことがないんですよ。
図書館の開拓もしたいし…(ああ、でもまだ、住民票が~)
竹之内豊な主人公には興味があります!

投稿: ゆれい | 2009/10/06 08:31

>ゆれいさん

 こんにちは。

 東野圭吾の小説は読みやすくてお勧めです。ガリレオシリーズの短編集などはとくにサクサク読めます。好きなのは『容疑者Xの献身』『白夜行』『秘密』かな。落ちついたらぜひ!

 竹之内豊よりもう少し若いイメージなんだけど、ほかに思い浮かばないの。

投稿: Tompei | 2009/10/06 15:52

はじめまして。
「新参者」の検索でこちらにたどり着きました。
毎日1~2章ずつじっくり読み進め、ゆうべ読み終えました。
本当に「お見事!」と声があがる作品でした。すばらしい読後感!!1冊でいくつもの作品が楽しめ、贅沢をさせてもらった気分です。
私も宮部作品を思い浮かべながら読み、映像化するなら竹之内豊だなぁと思いました。
あまりにそっくりな感想に嬉しくなり、思わず書き込みさせていただいた次第です。
お邪魔いたしました。

投稿: ゆきみ | 2009/10/20 16:37

>ゆきみさん

 はじめまして。ご訪問&コメント、ありがとうございます。旅行に出かけていたため、レスが遅くなってごめんなさい。

>私も宮部作品を思い浮かべながら読み、映像化するなら竹之内豊だなぁと思いました。

 同じように感じて、コメントまで残していただいて、とても嬉しいです! 映像化が楽しみですね。連作短編だから、連続ドラマのほうが合っているかしら?

投稿: Tompei | 2009/10/25 06:51

TBさせていただきました。
白夜行のような重たい小説も好きですが、新参者のようにほっとできる小説もいいものですね^^

>人形町界隈を歩いたので、小説の中に出てくるお店のモデルになったお店の写真を撮ってきました。

快生軒入ってみたいわ~。

投稿: ぶんぶん | 2010/01/09 21:35

>ぶんぶんさん

 コメント&TBありがとうございます。

 読みやすいし、殺人事件を扱っているのに後味が悪くないのもいいですよね。

 「快生軒」、入ったことがないんですよ。ぜひご一緒しましょう! 並びの「玉ひで」の親子丼も美味しいのよ~(^^)。

投稿: Tompei | 2010/01/09 23:38

おはようございます

手続き?だけ先に済ませて、ご挨拶が遅くなりました。

発売と同時に買って、こちらを拝読して早く読みたいと思っていたのです。ところが、そのことを失念していました。
ぶんぶんさんが、思い出させて下さいました。

確かに、宮部みゆきさんの作品を思い出させます。いつもの東野作品とは、少し違う感じがします。

投稿: | 2010/01/10 10:21

>涼さん

 ご丁寧にコメントをいただき、ありがとうございます。

 加賀さんはかなり前の作品から登場しているんですよね。読み返してみたくなりました。

>いつもの東野作品とは、少し違う感じがします。

 そうですね。何がどう、と言えないけれど、そんな気がします。

投稿: Tompei | 2010/01/12 08:13

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『新参者』(東野圭吾):

» 今年最初の読書は「新参者」 [Fancy Pet]
お正月もいつの間にやら松の内を過ぎ、もう9日!目標はとりあえず3日坊主にはなっておりません(今のところ^^;) さて、その目標の一つである、読書。 お仲間のココとコチラでも書評が良くて、ずっと気になっ... [続きを読む]

受信: 2010/01/09 21:28

» 東野圭吾【新参者】 [徹也]
いやー、かっこいいです>加賀さん [続きを読む]

受信: 2010/01/09 21:43

« 江戸百景めぐり<押上界隈> (その2) | トップページ | 第17回お江戸オフ《品川宿 前編》 その1 »