第18回お江戸オフ《大山詣で》(その2)
(こちらの続き)
まず、大山の歴史を簡単に――。
大山は古来から山岳信仰の対象とされ、雨降山(あふ(ぶ)りやま)とも呼ばれて雨乞いの神様として知られていました。祭神は、山頂に祀られた霊石の由縁から「石尊大権現」。奈良時代には良弁僧正が入山して不動堂を建立し、「雨降山大山寺」と命名しました。その後、第三世として入山した弘法大師は数々の霊所を開き、それが今も七不思議として残っています。数百年にわたる神仏習合時代は、神職、修験者、僧侶が入り混じって奉務する聖地で、大山寺は今の下社の場所にありました。
江戸時代には関東各地で大山講が組織され、多くの庶民が参拝に訪れるようになります。そのきっかけを作ったのは、3代将軍家光と乳母の春日局。春日局は家光が世継になるように駿府の家康に直訴しに行く途中、大山寺で祈願をしています。その祈りが叶い、将軍になった家光は大山寺を篤く信仰し、寺の造営に着手しました。将軍様が信仰すれば、庶民もそれに倣うのが自然の成り行き。大山と江ノ島を参詣する3~4泊の旅が人気だったようです。
神仏分離令が出された明治以降は阿夫利神社と大山寺に分けられ、大山寺は現在の場所に移設されました。神社仏閣を訪ねると度々遭遇する神仏分離の傷跡。はたして正しい方法だったのでしょうか。
さて――女坂を半分程登ると大山寺(写真左)に出ます。このお寺のご本尊は鉄造の不動明王像。ご開帳中だったので、300円払って拝ませていただきました。ガラス越しながらその迫力が伝わってきます。不動明王は私の干支の守り本尊なので、心して手を合わせました。右の写真は前本堂(右)と倶利伽羅堂。倶利伽羅堂は安政の大火を免れた大山最古のお堂。
土器(かわらけ)投げにも挑戦しました。1枚目は厄落とし、2枚目は開運だそうな。残念ながら赤い輪は通らなかったけれど、厄は落とせたかしら? 上記の女坂の七不思議については、ぶんぶんさんの記事をご参照ください。
再び女坂を登って、限界寸前にようやく阿夫利神社下社(写真左)に到着。ここの拝殿脇には大山名水という湧き水が出ていて(写真右)、分けていただけます。雨降山の名前のとおり雨が多い大山は湧き水も豊富で、それゆえ豆腐が名物になっているんですね。
最後に、北斎の浮世絵「諸国瀧廻り 相州 大山ろうべんの瀧」をご紹介します。ろうべんとは大山寺を建立した良弁のことで、この滝で水行を行なったと言われています。浮世絵にも水行をする大山講の人々が描かれています。良弁の滝は今もありますが、残念ながら見逃しました。下調べ不足やうっかりのせいで見逃したものがいくつかあり(いつものことね)、次回こそ必ずといつものように思うのでした。
参加メンバーの記事は「お江戸オフ記録帳」にまとめてあります。
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コメント
春日局ってたぶん恰幅の良い方ですよね?
あの方をどのようにしてかついでで登ったのか。
この険しい(きっと当時は階段もないでしょうし)
落としたら当然打ち首でしょうし
運ぶ方もきっと大変でしたよね。
自分自身もやっとこ運んだだけに、あの体格を運ぶ苦労が忍ばれる。(^^;;;
あのわき水はどうなさいましたか?
私はペットを持っていたのにくまずに飲んだだけで帰ってきて、夫からクレームを言われました。
「それでお茶を入れてくれたらいいのに!」だそうです。
次回があったら空のペット二つ持って行きます!(^^;)
投稿: 陶片木 | 2009/11/30 20:33
さすが、うんちくを綺麗にまとめられましたね~。
北斎さんも来たのでしょうか?
大山寺のお不動さんは歴史から見てもすごく御利益がありそうですよね。お顔を拝めて本当に良かったです^^
陶片木さんはペットボトルにくまなかったのですね。私はあれでお米を炊きました^^
投稿: ぶんぶん | 2009/11/30 20:50
え?高尾山も江戸時代にいろいろ歴史的にある?(笑)
投稿: 惑 | 2009/12/01 02:32
陶片木さん、ぶんぶんさん、惑さん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
>陶片木さん
運ぶ人もたいへんだったと思うけれど、乗る人もつらそうよね。よくぞあんな山の上までお参りしたものです。「家光を将軍に」の思いの強さがわかりますね。
湧き水は自分の飲み水分しか持ってこなかったので(^^;)、ごくごく飲ませていただきました。あの水でご飯を炊いたぶんぶんさんとはえらい違いだわ。
>次回があったら空のペット二つ持って行きます!(^^;)
4人家族なので、2リットルボトル2本は必要かも(^^;)
>ぶんぶんさん
今回も見逃したものがいくつかあるけれど、お不動様を拝めたことは幸いでした。ぶんぶんさんが言ってくれなかったら、これも見逃していたかも? ありがとうございました。
次回は私も水を持って帰ってご飯を炊きます v(^^)
>惑さん
え、次は高尾山?(^^;) 江戸つながりは聞いたことなかったけれど、ちょっと見てみたら、やっぱり江戸時代から信仰の山だったようですね。いつかオフで行ってみなくては! 大山に比べれば登りも楽なのがいいわ。
投稿: Tompei | 2009/12/01 10:13