歌舞伎座 柿葺落四月大歌舞伎
新しい歌舞伎座のこけら落とし興行に行ってきました。ご覧の通り、外観はほとんど旧歌舞伎座のまま。背後の高層ビルがなければ判別できないかもしれませんね。もちろん、白壁はぴかぴかですが。地下鉄「東銀座」駅から直結する地下の部分が最も変わったようです。
ひとり歌舞伎教室第2弾の演目は、「弁天娘女男白浪」と「忍夜恋曲者 将門」。白浪五人男ならわかりやすいかなと思いました。あらすじと見所をざっと予習して観劇。イヤホンガイドを借りるという手もありますが、使い心地はどうなんでしょう? 舞台の台詞や音楽以外の音が聞こえて邪魔ではない?
かの有名な「知らざぁ言って聞かせやしょう」は弁天小僧の台詞だったんですね。七五調の名台詞が耳に心地よく響きました。菊五郎さんの声は3階席までよく通って聞きやすい。が、残念ながら意味はほとんど頭に入ってきません。ま、わからないなりに楽しめます。白浪五人男の名乗りの場面はわくわくしました。パロディではよく見るけれど、本物は初めて。
この白浪五人男には「がんどう返し」という舞台の仕掛けがあります。屋根の上で立腹を斬った弁天小僧を載せたまま、その屋根が90度後ろに倒れて、次の舞台が現れる仕掛け。江戸検定のテキストに出てきましたが、実際に見て納得しました。こういう仕掛けも江戸時代からずっと続いているところがすごい。
もう一方の「将門」では最後に屋台崩しがあります。玉三郎さん演じる滝夜叉姫(将門の娘のもののけ)は正体がばれた後、蝦蟇(ガマガエル)の妖術を使って御所を壊し、崩れ落ちた屋根の上に蝦蟇と現れて幕となります。妖しくも美しい滝夜叉姫と巨大なガマガエルの姿が観客の目に焼き付けられる派手な仕掛けでした。ただ、3階席からだと上部が見えないのが残念……お安いから仕方ないけれど。
「将門」はほとんどが常磐津と舞踊で進行します(こういう演目を所作事という)。あらかじめ話を知った上で観るものなんでしょうね。常磐津、長唄、清元などの違いは今のところまったくわかりません。三味線や肩衣の色、舞台の位置も違うようです。
歌舞伎は形式の継承を重んじていることがよくわかります。さまざまな決まりごとを知ると、もっと楽しめそう。そうそう、歌舞伎って上演中も客電がついたままなんです(演出上、暗くなることはあり)。これも伝統でしょうが、暗い客席に慣れている身にはどうも集中しにくく慣れません。
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知らざあ言って聞かせやしょう。浜の真砂と五右衛門が、歌に残せし盗人の、種は尽きねえ七里ヶ浜、その白浪の夜働き、以前を言やあ江ノ島で、年季勤めの児ヶ淵、江戸の百味講(ひゃくみ)の蒔銭(まきせん)を、当てに小皿の一文字、百が二百と賽銭の、くすね銭せえだんだんに、悪事はのぼる上(かみ)の宮、岩本院で講中(こうじゅう)の、枕捜しも度重なり、お手長講(てながこう)を札付きに、とうとう島を追い出され、そこから若衆の美人局、ここやかしこの寺島で、小耳に聞いた祖父(じい)さんの、似ぬ声色(こわいろ)で小ゆすりかたり、名さえ由縁の弁天小僧菊之助とは俺がこった。
(『白浪五人男』 弁天小僧の台詞)
問われて名乗るもおこがましいが、産まれは遠州浜松庄、十四の年から親に放れ、身の生業も白浪の、沖を越えたる夜働き、盗みはすれど非道はせず、人に情けを掛川から、金谷をかけて宿々(しゅくじゅく)で、義賊と噂高札(たかふだ)に、廻る配符の盥(たらい)越し、危ねえその身の境界も、最早四十に人間の、定めは僅か五十年、六十余州に隠れのねえ、賊徒の首領日本駄右衛門。
(『白浪五人男』 日本駄右衛門の名乗り)
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コメント
あれ?いつのまに歌舞伎座デビューを?
3階席のチケットは並ばないと手に入らないそうですが…いっぱい並んだ?
長い時間かかるのですよね?
投稿: ゆれい | 2013/04/24 17:30
>ゆれいさん
月曜日に行ってきました。事前にネットでB席を購入したんです。一幕見のチケットは当日並ぶんだけど、今はこけら落としで人気があるから、かなり早く行かないとダメそう。白波五人男は立ち見も出ていました。私はたとえヅカでも立ち見は無理
ガマガエルを見たら、ゆれいさんを思い出しました
投稿: Tompei | 2013/04/24 18:44
わ〜いいなあ☆私もそのうち行きたいと思っていますが、何せあの行列を見ると、、^^;
投稿: みるきい | 2013/04/24 18:44
>みるきいさん
ごめんなさい、入れ違いになりました。
どのくらい並ぶと買えるんでしょうね。押上からだったら、ダメもとで出かけてもいいけど、ここからだとダメもとはちょっときつい
投稿: Tompei | 2013/04/24 18:58
おぉ~、二回めの歌舞伎座!すごい人ですね~。
一度味わってみたいな~。
でも相当勉強していかないと私は理解できなそう^^;
投稿: ぶんぶん | 2013/04/24 19:04
おぉ~、さっそくいらしたんですか?
私は、建て替え前の最後の時に行きましたけど、どう変わったのかな~?と興味があります。
前は古かったから少し汚れもあったし、トイレが混雑していたり不便もありましたよね。
古さもまた良いのは良いけれど・・・
そのうち空いた頃に、行ってみようかな?
今は、チケット取りづらそうですものね。
投稿: Nawo | 2013/04/24 21:01
ぶんぶんさん、Nawoさん、コメントありがとうございます。
>ぶんぶんさん
あらすじを知っておけば、それなりに楽しめますよ。わからなくても雰囲気を味わえるから満足できます。あとはお気に入りの役者が見つかれば、歌舞伎通への道を進めそう。そこまで入れこまないようにしなくちゃ;;;
>Nawoさん
旧歌舞伎座の解体前にいらしたんですね。私は10年以上前に一度行ったきりなので、内部の変化はよくわかりませんが、お手洗いは数が増えてスムーズにはけるようになったんじゃないかしら。新しい劇場はその点がいいですよね。
こけら落としはやっぱり混んでいますね。実は6月公演も狙っているんですけど、チケット取れるかな?
投稿: Tompei | 2013/04/24 22:04
>パロディではよく見るけれど、本物は初めて。
はいはい(笑)
座席は前よりは楽になってましたか?
膝がつきそうだったので。
歌舞伎オフもいつかは実現したいですね^^
投稿: 桜桃 | 2013/04/25 07:51
そうそう、イヤホンガイド一度使った事あります。
雰囲気にどっぷりつかりたいならオススメはできませんね〜
ただ見所などとても勉強になるのでたまに使って解説を聞きつつ見るのもアリかと思います。考え方ですけどね^^;
投稿: みるきい | 2013/04/25 08:23
桜桃さん、みるきいさん、こんにちは。
>桜桃さん
1階や2階はわからないけど、少なくとも3階B席は東宝のB席と同じようなものです(^^;)。座っている人の前を通るのは困難。
こけら落としが一段落したら、演目によってはチケット取りやすくなるかも。でも、取りにくいような演目、キャストが観たいわよね。
>みるきいさん
イヤホンガイド情報、どうもありがとう! やっぱりわかりやすく説明してくれるのですね。"歌舞伎教室"にはもってこいよね。1度は試してみなくちゃ!
宝塚にもあるのかなと思って、公式サイトを見たら、本拠地の劇場のみで東京はないらしい。どんな説明をするのか興味津々。
投稿: Tompei | 2013/04/25 11:03