歌舞伎座 柿葺落六月大歌舞伎 第三部
第5回歌舞伎教室。待望の海老蔵さんの助六です! 本来なら市川団十郎さんが勤めるはずだったこの役を海老蔵さんが演じると知って楽しみにしていました。
カッコよかった~! 3階後方端っこの席からオペラグラスで釘づけ。ミーハーの血が騒いで、もうメロメロですわ(爆)。江戸っ子が役者の錦絵を買い集めた気持ちがわかりましたよ。検索したら助六の絵が山ほどあったので、市川団十郎の絵を貼っておきます。今も同じ扮装をするのがすごい。赤い襦袢に黒小袖、紫の鉢巻き、黄色の足袋に下駄という粋な助六ファッションが素晴しくお似合いでした。華やかで押し出しが強くて主役の風格があって、文句のつけようがありません。色気があり、かつ愛嬌もあって、助六そのもの!
この演目『助六由縁江戸桜』は市川宗家(成田屋)のお家芸として選定された歌舞伎十八番の一つで、このタイトル(外題)を使えるのは成田屋だけ。ほかの役者が助六を演じる場合はタイトルが少し変わるそうな。つまり、成田屋は代々、一番の助六役者であることを期待されているわけですね。梨園というのはたいへんな世界です。海老蔵さんの子ももう期待されています。
実はこの助六は曽我五郎。先日観た『壽曽我対面』でも海老蔵さんが演じていました。助六は、養父が紛失した源氏の宝刀「友切丸」を探しています。これを見つけないうちは仇討ちができないので、夜毎に吉原に現れては喧嘩を売って刀を抜かせているのです。舞台は吉原の大籬(おおまがき)三浦屋の前。たった一幕「三浦屋格子先の場」だけで2時間以上上演されます。
まず口上(幸四郎)があり、花魁道中から始まります。揚巻(助六の彼女、福助)や白玉(七之助)をはじめ大夫、禿、新造、遣手、男衆など、吉原の人々が大勢登場し、一気に江戸の吉原にタイムスリップさせられます。花魁の衣装、とくに揚巻の衣装の豪華絢爛さには目を瞠りました。吉原の風景を見ているだけでも十分楽しめます。イヤホンガイドはいろいろなウンチクを聞かせてくれましたが、キリがないので省略。
そこに登場する人々がそれぞれ個性的で面白い。とりわけ、「じぇじぇじぇ」「今でしょう!」と笑いを誘い、ツイッターでつぶやく三津五郎さんの通人は大受け、拍手喝采でした。『対面』で十郎役だった菊之助さんがうどん屋の出前持ちに扮し、ここではお父様の菊五郎さんが十郎というのも面白いご縁。団十郎さんの助六仕様なので、脇役も錚々たるメンバーでした。
順序が逆になりましたが、併演は『御存 鈴ヶ森』。助六とは対称的にほとんど黒一色の舞台です。夜なのでね。舞台中央に「南妙法蓮華経」のひげ題目供養碑が無気味に立っています(右はお江戸オフで訪れたときの写真)。この鈴ヶ森で幡随院長兵衛(幸四郎 )と白井権八(梅玉)が出会う話です。権八の趣向をこらした立ち回りが楽しめました。
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今からがこの揚巻が悪態の初音。意休さんと助六さんを並べてみたところが、こちらは立派な男ぶり、またこちらは意地の悪そうな男つき、たとえて言おうなら雪と墨、硯の海も鳴門の海も、海という字は二つはなけれど、深いと浅いは客と間夫(まぶ)、間夫がなければ女郎は闇、暗がりで見ても、助六さんとお前と取り違えてよいものかいなぁ。
(『助六』 揚巻の悪態)
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コメント
歌舞伎の役者さんは、やはり隈取して舞台で観てこそ完成形なんでしょうね。
のめりこんでいってますね
ずぶずぶ・・・
投稿: ゆれい | 2013/06/13 21:48
>ゆれいさん
そうそう、ジェンヌだって、ドラマより舞台のほうが魅力的だもんね。何かとヅカに例えて考える私
何でもミーハー的な目で見て、無意識のうちに「ときめく」対象を探しちゃいます。でも、最近はそのときめきが長続きしないの
投稿: Tompei | 2013/06/14 07:32