『耳と文章力――上手な文章を書く秘訣』(丸山あかね)
音楽の「絶対音感」のような「絶対文章感」なるものはあるのか、を考察したエッセー。著者の造語「絶対文章感」とは、文章に対する天性の才能のこと。文章力は生まれつきの才能なのか、後天的に獲得できるものなのか、を作家や学者とのインタビューを交えつつ探っています。
国語学者の大野晋、言語学者の外山滋比古、作家のなかにし礼、重松清、小池真理子、清水義範、大学で論文を指導する教師、聴覚障害者の言語教育に携わる大学教授、ATOKの開発会社の社員など、言葉に関わる人々のさまざまな意見が興味深く面白い。著者の結論は、
「絶対文章感」はない。けれど感受性をも含めた「文章感」は存在する。
であるけれど、その是非よりも、この問題について考える機会を与えられたことに意味がありそうです。
とくに印象深いのは、「文章のリズムをつかむには、文章を『耳で読む』ことが必要」という点。意味だけ拾うのは『目で読む』ことで、『耳で読む』には音読するか、心の中で声を出して読まなければならないとのこと。好みの作家の文章を耳で読み、徹底的に読み込んで文章リズムを体得して、書きたいことをそのリズムに乗せて書く――外山氏推薦の文章上達法です。あとは、毎日書いて書いて書きまくるしかないらしい。
ブログを始めて4年少々、更新頻度が低いとは言え、800近くの記事を書いているのに、一向に文章力がつかないのは絶対文章感がないからに違いない。ネット上で「いいな」「うまいな」と感じる文章に出会うと、どこが違うのかしばし考えてしまいます。言いたいことがはっきりわかるのは最低条件。その人独自のリズムがあって、押し付けがましくなく自然に個性が滲み出ていて、喜怒哀楽はストレートなのに冷めた目が同居していて、発想が柔軟かつ斬新で比喩がユニーク……そんな文章に惹かれます。やっぱりセンスなのかな?
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